昨今のMRI装置の高性能化により、局所を精査することが主だったMRI検査でも、CTや核医学のように広い範囲のスクリーニングを目的とした検査が徐々に増えつつある。
この背景のひとつに2020年に一般社団法人日本磁気共鳴医学会より、「前立腺癌の骨転移検出のための全身 MRI 撮像の指針」が示されたことも大きな後押しとなっている。指針によると、全身 MRI は骨転移の診断精度が高いだけでなく低コスト・非侵襲的(無被ばく・非造影)であり、経過観察が特に重要な進行前立腺癌の治療選択に有用性が高いとされている。
Whole body MRI検査は、CTのように全身を撮像し、かつコントラスト分解能の高さや複数シーケンスを組み合わせることによる診断能の向上を存分に生かした検査である。
Whole body MRIの中でも中核のシーケンスであるwhole body DWI(Diffusion Weighted Imaging)は、骨シンチグラフィやPETのように放射性同位元素を使用することなく(被ばくすることなく)がんの骨転移やリンパ節転移を検出することができる。
一方で、Whole body DWIで高信号である部分がすべて病変いうわけではなく、両悪性の参考指標として、これを弁別するためにADC (Apparent Diffusion Coefficent ) mapが用いられる。Whole body DWIは、評価範囲が広いため、読影医にとってストレスになっていることが容易に想像できる。
昨今、 ADCをカラーマップとして表示することで、視覚的に悪性度の高い転移巣を確認することができるようになった。グレースケールのADC mapをカラースケールに変換することにより、視覚的にADC値の高低を視認することが可能となり、読影の効率化、読影医のストレス低下に寄与すると言われている。
そこで今回は、ADCカラーマップの作成例と臨床例を、SYNAPSE VINCENTを用いて解説する。
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