日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区)は、重度の大動脈弁狭窄症の患者さんを対象とした経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)に用いられる「Evolut™ FX+(エボリュート エフエックスプラス)」(以下、Evolut FX+)について、10月1日より販売を開始する。
重度の大動脈弁狭窄症は、心臓の中にある弁のうち、酸素を含んだ血液を心臓から全身へと送り出す際の出口にあたる大動脈弁が、加齢や動脈硬化により硬くなって十分に開かず、血液の流れが妨げられてしまう病気である。軽症のうちは症状を自覚しない患者さんがほとんどだが、進行して胸の痛みや息切れといった自覚症状が現れると突然死のリスクが高まるなど、予後が悪いことが知られている。
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)は、胸を開いて外科的に弁を交換するのではなく、心臓が動いている状態のまま、大腿動脈等を経由してカテーテル(細い管)を心臓に通し、人工弁(生体弁)を患者さんの心臓に植え込む治療法である。日本では2013年に保険適用され、これまで全国の約200施設で手術が行われており、現在では年間1万人以上の患者さんが治療を受けている。
【Evolut FX+の特長】
Evolut FX+は、第6世代の自己拡張型経カテーテル的大動脈弁置換術用デバイスである。本製品は、従来のEvolut TAVRプラットフォームが持つ優れたバルブ性能を維持しながら、冠動脈へのアクセス性を支援するよう設計されている。Evolut FX+は、改良されたフレームデザインにより、従来のEvolut TAVRシステムの4倍の大きさの冠動脈アクセスウィンドウを提供する。これにより、カテーテル操作のためのスペースが拡大され、患者さんの多様な解剖学的特性に配慮しながら、よりスムーズな冠動脈へのアクセスを支援する。さらに、この新しいデザインは、Evolutプラットフォームが提供する優れた血行動態およびバルブ性能を損なうことなく、臨床医の高いニーズに応えるソリューションを提供する。
大阪けいさつ病院 院長 澤 芳樹 医師は、「重度の大動脈弁狭窄症の治療であるTAVRは、Evolutシリーズ特有のスープラアニュラーデザインの自己拡張型生体弁であること、再収納による再留置が可能であること、弁周囲逆流をより小さく抑える高度なバルブシーリングなどでTAVR治療に新しい選択肢を提供し、また治療成績の向上に貢献してきました。そして今回の新製品であるEvolut FX+は、このプラットフォームをさらに洗練させ、術後の冠動脈アクセスを支援する4倍の大きさのウィンドウを備えた妥協のないデザインを実現することで、患者さんのLifetime Managementの課題に対応することが期待できます。」と述べている。
湘南鎌倉総合病院 総長・心臓センター長 齋藤 滋 医師は、「血管内から大動脈弁を治療できる低侵襲治療としてTAVRが日本で始まって13年を迎えます。経カテーテル的大動脈弁置換術TAVR治療の普及とデバイスの進化は日本の大動脈弁狭窄症治療に寄与してきました。TAVRに使用される生体弁のエビデンスも増えてきている折、良好な血行動態への改善が期待できるスープラアニュラーデザインなどの特徴を継承し、さらに冠動脈アクセスを支援する機能を備えたEvolut FX+の登場は今後さらに多くの患者さんに対するTAVR治療に寄与することでしょう。」と述べている。
メドトロニックは、第一線の臨床医、研究者や科学者と連携し、心血管疾患および不整脈等のインターベンションや外科手術における革新的技術を幅広く提供している。また、世界各地の患者さんと医療従事者に臨床的、経済的価値をお届けできる製品とサービスを提供すべく、努力を続けていく。
大胆な思考。より大胆な行動。私たちはメドトロニックである。Medtronic plc(本社:アイルランド、ゴールウェイ)は、ヘルスケアテクノロジーをグローバルにリードし、人類が直面している多くの困難な健康課題に積極的に取り組み、ソリューションを探し、見つけ出す。150ヵ国以上にまたがる情熱を持った9万5千人以上の従業員からなるグローバルなチームを団結させているのは、「人々の痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばす」という私たちのミッションである。私たちは70以上の健康課題を治療する、心臓ペースメーカ、手術支援ロボット、インスリンポンプ、外科用手術機器、患者モニタリングシステムなどの多様なテクノロジーと治療法を提供している。私たちは、多様な知識、飽くなき好奇心、そしてそれを必要とするすべての人を助けたいという思いを原動力に、革新的なテクノロジーで、1秒に2人の人々の生活を、毎時間、毎日、変え続けていく。メドトロニックは、インサイト(洞察)に基づいた治療法の提供、人を第一に考えたエクスペリエンス、そして世の中により良いアウトカム(結果)をもたらすことに注力していく。
私たちは何ごとにもエンジニアのマインドを持って、想像を超えるものを創り出す。
Webサイト www.medtronic.com
日本メドトロニックは1975年の設立以来50年にわたり、生体工学技術を応用し、慢性疾患をお持ちの方々の痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばす医療機器を通して人類の福祉に貢献することを目指している。メドトロニックが提供する先端医療技術は、心臓疾患をはじめ、パーキンソン病、糖尿病、脊椎疾患、脳疾患、慢性的な痛みなどを広くカバーしている。Webサイト www.medtronic.com
なお、将来の業績見通しに関わるすべての記述は、メドトロニックが米国証券取引委員会に提出する定期報告書に記載されているようなリスクや不確定要素の影響を受ける場合がある。実際の業績は予想と異なる可能性がある。
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