2025.04.09
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、装置開口部70cmの大口径で液体ヘリウムを全く使わない完全ゼロヘリウムを実現したワイドボア1.5テスラ超電導MRIシステム「ECHELON Synergy ZeroHelium(エシェロン シナジー ゼロヘリウム)」*2を富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原 芳博)を通じて6月2日より発売する。
「ECHELON Synergy ZeroHelium」は、販売中の「ECHELON Smart ZeroHelium(エシェロン スマート ゼロヘリウム)」*3に続く、液体ヘリウムを全く使わないZeroHelium磁石を用いて新たに開発したMRIシステムである。AI技術を活用して開発した機能により検査ワークフローの効率化を実現し、病院経営をサポートする。
富士フイルムは、4月11日〜13日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」に「ECHELON Synergy ZeroHelium」を出展する。
2024年4月に販売を開始した「ECHELON Smart ZeroHelium」は、液体ヘリウムを全く使わない1.5テスラ超電導MRIシステムである。従来の超電導MRIシステムは、必要な磁場を発生させるために磁石を極低温に保つ冷媒として液体ヘリウムを使用する。一方「ECHELON Smart ZeroHelium」は、冷凍機による極低温を効率良く伝搬して磁石を冷やすZeroHelium磁石の採用により、完全ゼロヘリウムを実現。ゼロヘリウムによる高い設置性や、短いスキャン時間でも高画質な画像を取得できる画像処理技術が評価され、多くの医療機関に導入されている。また、第7回日本医療研究開発大賞で「経済産業大臣賞」を、2024年度グッドデザイン賞で「金賞」を、さらに世界三大デザイン賞の一つに数えられるドイツのiF Design Awardで「iF Design Award 2025」を受賞した。
今回発売する「ECHELON Synergy ZeroHelium」は、新開発の大口径ZeroHelium磁石の採用により、70cmの大口径で液体ヘリウムを全く使用しないゼロヘリウムを実現した。安定稼働に貢献する高い可用性や自由度の高い設置性といったゼロヘリウムによる特長に加え、磁石の冷却状態を監視し状態に応じて冷凍機を効率的に動作させることにより年間消費電力を最大40%低減*4する。また、AI技術を活用して開発した機能を多数搭載。取得する断層画像の位置・角度を決めるスライスライン設定から撮像後の画像処理まで検査全体のワークフロー効率化や再撮像リスクの低減をサポートし、医療従事者の負担軽減に貢献する。
富士フイルムは、今後もさまざまな医療現場のニーズにこたえ、検査の効率化と医療の質の向上を図ることで、人々の健康の維持・増進に貢献していく。
*1 AI技術のひとつであるDeep Learningを用いて開発した。導入後に自動的に装置の性能・精度が変化することはない。
*2 「ECHELON Synergy ZeroHelium」は、「ECHELON Synergy」にZeroHelium磁石を搭載した液体ヘリウムを一切使わないMRIシステムの呼称。
*3 「ECHELON Smart ZeroHelium」は、「ECHELON Smart」にZeroHelium磁石を搭載した液体ヘリウムを一切使わないMRIシステムの呼称。MRイメージング装置 ECHELON Smart (医療機器認証番号: 229ABBZX00028000)
*4 消費電力を低減するモードを使用した場合と使用しない場合の比較。測定方法は同社規定による。使用条件による。
記
MRイメージング装置 ECHELON Synergy (医療機器認証番号:305ABBZX00004000)
2025年6月2日
(1)大口径ZeroHelium磁石によるダウンタイム短縮と消費電力削減
・新開発の70cm大口径ZeroHelium磁石を採用。広い装置開口部を設けることで被検者の閉塞感・不安感に配慮するだけでなく、さまざまな部位の撮像に素早く対応できる*5。
・金属などの磁性体による吸着事故が発生した場合、従来の超電導MRIシステムではサービス員に復旧作業を依頼する必要があり、復旧までに時間を要していた。「ECHELON Synergy ZeroHelium」は、ユーザー自身が復旧作業を行えるため、検査のダウンタイムを短縮する高い可用性で安定稼働に貢献する。
・磁石の冷却状態を保つコンプレッサーユニットの動作周期を適正にコントロールする機能を新たに搭載した。これにより年間消費電力の35~40%低減を実現、ランニングコストを削減する。
・従来の超電導MRIシステムでは、何らかのトラブルでヘリウムが気化した場合大量のヘリウムガスが発生するため、ヘリウムを排気するための排気管を設置する必要があった。「ECHELON Synergy ZeroHelium」は、液体ヘリウムを用いないため排気管の設置が不要。配管ルートを気にすることなく自由度の高い設置が可能である。
*5 すべての体位・被検者に対応するものではない。
(2)検査ワークフローの効率化をサポート
・タッチパネルのスタートボタンを押すだけで、寝台が装置内に移動し、磁場の中心で対象部位をスキャンできるように寝台の位置を自動的に調整。検査者が検査室から退出し扉を閉めると、自動的にスキャンを開始する。
・撮像時には、AI技術を活用したスライスライン設定サポート機能「AutoPose」により、取得する断層画像の位置・角度を自動で設定することが可能である*6。従来の頭部、脊椎、四肢関節、乳房、股関節に加え、新たに心臓、腹部、骨盤にも対応し、全身を広範囲でカバーする。スライスライン設定のアルゴリズムには、国内外で多くの医療機関への納入実績を持つ3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」*7で培ってきた臓器認識技術を活用している。
・撮像後の画像処理では、脳血管を立体画像化した頭部MRA画像から頭皮や不要な血管を除去するクリッピング作業を自動で行う機能「AutoClip」*8や、3D画像取得後に、事前に撮像した2D画像と同じ断面像を自動で再構成する機能「AutoMPR」*9が、ワークフロー効率化をサポートする。
*6 最終的に操作者が提示されたスライス位置を確認し、必要に応じて手動で調整する。
*7 販売名:富士画像診断ワークステーション FN-7941型,認証番号:22000BZX00238000
*8 本機能は最終的に操作者が表示画面上で結果を確認し、必要に応じて手動クリッピングを行うことも可能である。
*9 本機能は最終的に操作者が表示画面上で結果を確認し、必要に応じて手動でスライス断面の修正を行うことも可能である。
(3)再撮像リスクの低減をサポート
・AI技術を活用した、被検者の動きを検知して医療従事者に通知する被検者見守りシステム「Synergy Vision」を装備。ボア内の前後2つのカメラにより被検者の状態を視覚的に観察できるだけでなく、被検者の動きを検知すると通知音と画面表示でお知らせする。
・被検者の動きによる画質劣化を改善する機能「Visual StillShot」により、カメラで検知した体動の影響がある受信信号を除去して画像を再構成することで、体動アーチファクト*10を低減し、再撮像の頻度低減につなげる。
*10 MRIの撮像において、体動の影響により画像上に発生する、本来存在しない像。
(4)AI技術を活用して高画質な画像を提供
・MRIの撮像原理上発生するトランケーションアーチファクト*11をAI技術により低減し、画像鮮鋭度を向上させる。さらに、AI技術を活用したノイズ除去技術と、繰り返し演算処理を行う高速撮像法を組み合わせることで、より短時間で高画質な画像を取得できる。
・撮像時間を短縮するために、本来計測すべきデータの一部を計測せず、未計測部分を推定データで補うハーフスキャンという手法がある。しかし、ハーフスキャンは、撮像時間が短縮する一方で、MRI画像にアーチファクトが生じる場合がある。「ECHELON Synergy ZeroHelium」は、AI技術を活用してハーフスキャンの未計測部分を推定する新開発の「DLR Symmetry」により画質劣化の少ない画像を得ることが期待できる。
*11 有限のデータで画像再構成を行う際に生じる、本来存在しない像。信号の段差が原因で発生する。
* 本ニュースリリースに記載の機能・内容についてはオプション品を含んでいる。
▪問い合わせ
富士フイルムメディカル株式会社
マーケティング部
E-mail:shm-fms-hansoku@fujifilm.com
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