島津製作所は6月22日に管理医療機器(クラスII)である「血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL」(以下「アミロイドMS CL」)を発売した。
本製品は、昨年12月にリバランス通知※1に基づき「診断の参考情報となり得る生理学的パラメータを測定する診断機器」として製造販売承認を受けている。
「アミロイドMS CL」は、血中のアミロイドペプチド(アルツハイマー型認知症の特徴であるアミロイド斑の主要成分)を測定し、アミロイドβ(同疾患の原因と見られるタンパク質)に関連するバイオマーカー値を提示する製品である。
同社製のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「AXIMA Performance CL」やデータ解析用ソフトウェアなどで構成されている。
従来からある陽電子放出断層撮影(PET)イメージングや脳脊髄液(CSF)検査と異なり、被験者の負担が小さい検査を実現する。
今後、島津製作所は「アミロイドMS CL」を用いて、社外の企業・研究機関のコホート研究に協力して、臨床的エビデンスを取得し、アルツハイマー病の早期診断が可能な医療機器の開発を目指す。
受託分析子会社の島津テクノリサーチも同社が手掛ける「アミロイドMS受託解析サービス」にて本製品を使用する予定である。
注意:「アミロイドMS CL」が出力するバイオマーカー値の臨床的意義は評価されていない。本製品による検査を実施する際には、日本認知症学会、日本老年精神学会、日本神経学会が監修した「認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカーの適正使用指針」を順守することが求められる。
「アミロイドMS CL」は、「アミロイドMS」の技術の一部を医療機器として製品化したものである。「アミロイドMS」は、同社のMS(質量分析)技術を用いて、血液数滴(約0.5mL)に含まれるアミロイドβを測定する技術である。
同社と国立長寿医療研究センター(長寿研)は、共同研究を通じて、アミロイドβの測定値から算出されるバイオマーカーが脳内のアミロイド蓄積と相関することを報告している※2。
長寿研との共同研究には2002年にノーベル化学賞を受賞した同社エグゼクティブ・リサーチ フェロー田中耕一が加わっている。同賞の受賞理由となった「MALDI」(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)が、「アミロイドMS」実現に寄与している。
島津製作所は2018年8月から受託分析子会社の島津テクノリサーチを通じて、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)に関する治療薬・早期予防法の研究開発を対象とした「アミロイドMS受託解析サービス」を展開してきた。
昨年6月には仏モンペリエ大学付属病院と「アミロイドMS」に関する共同研究契約を締結した。11月からは米子会社SSI(Shimadzu Scientific Instruments, Inc.)を通じて、米国でも受託解析サービスの提供を開始した。
※1 「医療機器の「臨床試験の試験成績に関する資料」の提出が必要な範囲等に係る取扱い(市販前・市販後を通じた取組みを踏まえた対応)について」の通知。(平成29年11月17日付け薬生機審発1117第1号、薬生安発1117 第1号)
※2 Nature volume 554, pages 249‒54(2018)
販売名:血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL
一般的名称:アミロイドβ質量分析用セット
医療機器類別:管理医療機器(クラスII)、リバランス通知に基づく「診断の参考情報となり得る生理学的パラメータを測定する診断機器」
医療機器承認番号:30200BZX00384000
希望販売価格:1億円(税別)
https://www.shimadzu.co.jp/cl/products/amyloidms/index.html
関連先リンク:https://www.shimadzu.co.jp/
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