2021.02.08
島津製作所は、2月8日に「新型コロナウイルス拭取り検査試薬キット」(以下、「拭取り検査試薬キット」)を発売する。
本製品は、物質の表面に付着している新型コロナウイルスをPCR検査法によって簡便、迅速、高感度に検出するものである。
「ノロウイルス拭取り検査用試薬キット」(2016年発売)で培ったウイルス濃縮技術と、昨年4月発売の「新型コロナウイルス検出試薬キット」(研究用)を組み合わせ、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とする衛生管理・安全確認に用いる試薬キットとして製品化した。
同社は、本製品を介護老人保健施設や児童福祉施設、食品製造・流通、商業施設、交通機関向けの拭き取り検査サービスを行う受託検査会社および医療機関に提供していく。
新型コロナウイルスの主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」と言われている。
集団感染が起きたクルーズ船では、トイレや床、枕、電話機、テレビ、リモコンなどの表面からウイルスが検出され、接触感染の可能性が指摘された。
新型コロナウイルスは、こうした日常生活に使用する物質の表面で最大数十日間残存したと報告されており、多数の人が触れるドアノブや水道蛇口、タブレットPCなど「モノを介した感染」が疑われるクラスター発生事例もあった。
しかし、物質表面に付着しているウイルスは微量のため、綿棒で拭き取ってもPCR検査での検出が困難であった。
「新型コロナウイルス拭き取り検査試薬キット」は、専用濃縮液およびPCRに必要な試薬で構成されている。
市販の綿棒で検査対象の物質表面を拭い、綿棒を生理食塩水などに浸す。これに専用濃縮液を添加し、遠心分離を行うことでウイルスを沈殿させて濃縮する。
さらに当社独自のAmpdirect技術※によるPCR法にて、通常は数時間以上かかる濃縮から判定までを約100分で完了(下記ワークフロー図参照)。
※ 「たんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制し、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できる」という独自技術。「Ampdirect」は島津製作所の登録商標である。
通常数時間以上かかるウイルス濃縮工程が専用濃縮液を使えば、約30分に短縮できる。Ampdirect技術を用いた新型コロナウイルス検出試薬キットによって、煩雑な手作業を伴うRNA精製工程は不要になる。物質の表面に付着する新型コロナウイルスを約100分で検出できる。
検査対象の物質を拭った綿棒から超微量(0.25コピー/μL)の新型コロナウイルスを検出できる。「ノロウイルス拭取り検査用試薬キット」の技術を転用した。
注意:「新型コロナウイルス拭取り検査試薬キット」は研究用試薬である。医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品あるいは医療機器として承認・認証等を受けていない。治療診断目的およびその手続き上での使用はできない。本製品の性能検証は、不活化した新型コロナウイルスを用いて実施した。本製品の使用には、リアルタイムPCR装置や分注ピペット、恒温槽、小型遠心機を始めとする機材や、試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売はしない。なお、「遺伝子解析装置 AutoAmp」(昨年11月発売)と「拭き取り試薬キット」を併せて使用することはできない。
製品名:新型コロナウイルス拭取り検査試薬キット-環境検査用-
価格:27万5000円(税別、1キット=100検査分)
販売目標:発売後1年間で1000キット(10万検査分)
詳しい製品説明
https://www.an.shimadzu.co.jp/bio/reagents/covid-19/wiping.htm
関連先リンク:https://www.shimadzu.co.jp/
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