GEヘルスケアは最先端CT技術における独自の取り組みへの投資として、フォトンカウンティングCT(以下、PCCT)のディ―プシリコン検出器技術におけるリーディングカンパニーであるプリズマティック・センサー社の全株式を取得する。
本資料の正式な言語は英語であり、内容および解釈は英語が優先されます。英文の本資料は、以下URLを参照。
https://www.ge.com/news/press-releases/ge-healthcare-pioneers-photon-counting-ct-with-prismatic-sensors-acquisition
GEヘルスケアは、フォトンカウンティング検出器を専門とするスウェーデンのスタートアップ企業であるプリズマティック・センサー社の買収を2020年11月20日に発表した。
これはGEヘルスケアのPCCT技術への継続的な投資を意味するものである。このテクノロジには、腫瘍学、心臓病学、神経学、ならびに他の多くの臨床用CTアプリケーションにおける臨床成績が大幅に向上される可能性が見込まれている。
PCCTは臓器構造の精密な視覚化、組織の特性評価の向上、より正確な物質密度測定(または定量化)とともに、より低線量での撮影など、従来のCTの臨床能力をさらに増強させることが期待されている。
プリズマティック・センサー社は、ディープシリコン、およびエッジオンテクノロジにより、多くの技術的課題を克服しており、またそれらの特許を取得している。
これにより、検出器は非常に高いエネルギーのフォトンを吸収するのに十分な構造をもって、CTの数億のエネルギーフォトンを吸収し、それを瞬時に検出し定量化することが可能になった。
プリズマティック・センサー社は、スウェーデン・ストックホルムにあるKTH王立工科大学のスピンオフとして2012年に設立された。
GEヘルスケア社長兼CEOのキーラン・マーフィー氏は次のように述べている。
「この技術によって、CTの画像診断における大きな前進が見込まれ、世界中の何百万人もの患者さんに恩恵をもたらすことができると確信しています。
X線機器にはじまりPCCTに至るまで、GEヘルスケアはプレシジョン・ヘルスの実現化を目指し、生活の向上にむけて次世代技術のパイオニアとして全力で取り組んでいます。
このディープシリコンによる最先端のアプローチと、その臨床における可能性に大いに期待しています」。
また、プリズマティック・センサー社のCEOであるマッツ・ダニエルソン博士は、次のように語った。
「私たちは研究によって、ディープシリコン検出器がPCCTにとって臨床的要件を満たす最適なソリューションであることを見出しました。
カドミウムベースをはじめとした他の素材は、CTのX線検出器素材としての制約がありますが、シリコンは最も純粋な素材であり、シリコンベースの検出器はカウント率や空間分解能を犠牲にすることなく、優れたスペクトル分解能を可能にします。
GEヘルスケアとのコラボレーションは非常に生産的であり、一緒に作業することで急速な進歩を遂げてきました。
ディープシリコン検出器を備えたPCCTを市場に投入するといった次の段階に向けて、1つのチームとして一丸となって取り組むことを楽しみにしています」。
50余年もの間、CTは癌や心臓の状態をはじめ、その他大小の疾患を検出するために、臨床医に欠かせない画像診断ツールであることが実証されている。
CTの臨床有用性と診断能力は、ボリューム撮影や、より早い回転速度、逐次近似画像再構成法やAIベースの画像再構成、デュアルエネルギー、そして線量低減などの技術とともに急速増強されてきた。
昨年米国では、推定9,140万回のCT撮像が行われ、過去最高を記録している。今回のCTにおけるイノベーションへの取り組みにより、PCCTテクノロジは、今後幾年にもわたり、次世代型CTとして新しい性能基準を塗り替えるものになるとされている。
スタンフォード大学名誉教授であるノーバート・ペルク放射線科医師は次のように述べている。
「CTならびにX線画像診断がフォトンカウンティング検出器から、大いに恩恵を受ける可能性は、何十年も前から予見されていました。
課題は、優れたエネルギー分解能を提供し、空間分解能を維持または向上させながらも、高出力X線管からの膨大なフォトンを処理することが可能な検出器の開発です。
もちろん、検出器は妥当なコストを保ちながらの製造が可能でなければなりませんでした。プリズマティック・センサー社の科学者やエンジニアは、これらを達成しました。
フォトンカウンティング検出器は、CT分野にとって大きな影響がもたらされると私は考えます。特に低線量での検査や組織性状評価、物質弁別などが一例としてあげられます。
CTでは空間分解能が大幅に改善される度に、その実用性が向上してきました。このディープシリコン検出器の高い空間分解能が得られる時、このような高次レベルでの前進の可能性はここ何十年もなく、これはとても素晴らしいことです」。
GEの研究者は、1993年にPCCTの研究を開始し、2006年にカドミウムベースの検出器を使用した世界初のPCCTプロトタイプを発表している。
この技術を基にGEは10年間、核医学における技術の業界リーダーであり、臨床医と患者さんに優れたアウトカムをもたらしてきた。
この度、GEはディープシリコン検出器を使用し、従来のCTよりはるかに高いカウントレートの要求に対応するPCCTのための、より良いソリューションを特定し、それによって臨床医に多くの情報を提供しようとしている。
スウェーデンのカロリンスカ研究所の脳神経イメージング臨床医であり、カロリンスカ大学病院のシニアコンサルタントでもあるスタッファン・ホルミン医学博士は、次のように説明している。
「臨床医はCTなどの医用画像から得る情報を頼りにして、患者さんを正しく診断し、症例を観察して治療を決定します。
PCCT技術が非常に期待されている点は、より高い空間分解能とコントラスト分解能を可能にすることです。
この技術により、微細な血管も画像化できるようになります。血管、血管の病状、および治療において、より効果的とされる悪性の変化を早期に確認できるようになります。
特に小児患者にとっては、被ばく線量が大幅に減少されることも重要な点です。PCCTは、今日CTが使用されている全臨床アプリケーションの新標準になる可能性があります」。
GEヘルスケアはプリズマティック・センサー社の株式譲渡を2021年1月には完了させる予定である。GEヘルスケアとプリズマティック・センサーは協力して、近い将来臨床システムの提供をするとしている。取引条件は公開されていない。
GEヘルスケアと最先端CT技術の詳しい情報については、RSNA boothまたは gehealthcare.comを参照。プリズマティック・センサーについては、prismatic.seを参照。
・RSNA booth
https://innovation.gehealthcare.com/auth
関連先リンク:https://www.gehealthcare.co.jp/
TEL:0120-202-021
2025.09.02
2025.08.27
【Ubie株式会社】戸畑共立病院、「ユビー生成AI」活用で月間約400件の診断書作成時間の50%削減を実現~生成AIを活用したコメディカル主導のDXで、人員減でも業務継続が可能に~
2025.08.22
2025.08.19
Smart Opinion、AIで乳がん検診を革新!AI乳がん検診「Smaopi(スマオピ)」開始―医師の診断をAIで支援し、より確実な乳房超音波(エコー)検査を実現―
2025.08.19
富士フイルム、AI技術*1の活用で検査ワークフローの効率化に貢献 手軽に持ち運べる携帯型X線撮影装置の新モデル 新開発~在宅医療のほか、山間部・離島など幅広いシーンで簡便なX線検査をサポート~