2020.11.30
島津製作所は、医療現場での検査環境を改善するために、パワーアシスト技術を駆使し、軽快でよりスムーズな操作を可能にするX線一般撮影システムを開発した。
この新製品「RADspeed Pro style edition GLIDE Class (ラドスピード プロ スタイル エディション グライド クラス)」を11月30日から、中国を除く全世界で発売開始する。
X線一般撮影では、撮影対象に合わせて装置の位置合わせを行うため、医師や診療放射線技師が、検査ごとに毎回、天井レールから吊り下がった約300kgの“X線管懸垂器”のハンドルを持って手動操作する。
医療機関では、頭部、胸部、腹部、四肢など、多くの疾患における画像診断の第1選択でX線一般撮影システムが使用されることから、日々の検査数は非常に多くなっている。
X線管懸垂器の操作は、天井レール上の軌道やバランス機構が機能する中で行われるが、操作者の肩こりや腰痛のリスクがあるとして、操作時の負担軽減が求められている。
また、操作の負担を減らし、よりスムーズなワークフローにすることで、検査時の被検者の姿勢維持時間が短縮される。
新開発のパワーアシスト技術は、同社が長年にわたって培ってきた技術と経験を生かしたもので、グライダーが風に乗ってスムーズに移動するイメージから「POWER GLIDE™ (パワー グライド)」※と名付けている。
操作時のハンドルへの力のかけ方には個人差がある。また、広範囲に動かす場合と細かな位置合わせを行う場合など、その時々で操作者が快適さを感じるアシスト量も異なる。
さらに、X線一般撮影の検査では、たとえば撮影距離が180cm必要な場合もあり、撮影対象から大きく離れた位置でX線管懸垂器を操作し、X線照射範囲を数mm単位で合わせるなど、絶妙な操作が求められる。
これら操作性に関するハイレベルな要求を満たすため、「POWER GLIDE™」は、その時々にかけられる力を瞬時に検知し、必要なアシスト力を計算してモータを駆動させ、リアルタイムで操作力をアシストする。
アシストの応答性が非常に高いことから、どのような場面でも軽快に思いのままにポジショニングできる。
たとえば、X線管懸垂器の初動時に、操作者が従来3kg以上の力を必要とした操作について、「POWER GLIDE™」は、それを1kg以下に低減した。力を入れずに片手で簡単に操作できる。
同社は、被ばく低減、画質向上、高い操作性を追求する技術開発に努め、医療の最前線を支援する画像診断装置を国内外に提供していく。
この新製品は、これまでに積み重ねた基本性能を有しながら、大規模な病院からクリニックまで、多忙な医療現場の生産性向上と、医師や放射線技師の労働環境改善に貢献することが可能である。
※ POWER GLIDE (パワー グライド)
センシング技術、ショック軽減技術、バランス技術、スタビリティ制御技術、トルク制御技術を駆使することにより、数百kgにも及ぶ機器の手動操作をストレスなく可能にする先進パワーアシスト技術である。同社は、この技術を「GLIDE Technologies™ (グライド テクノロジーズ)」と名付け、これまでに回診用X線撮影装置に「GLIDE VIEW™(グライド ビュー)」を、近接型X線TVシステムに「GLIDE ASSIST™ (グライド アシスト)」を搭載してきた。
X線管懸垂器のタッチパネル操作によりアシストレベルを3段階で切り替えることができる。
細かな位置決めを行う場合はレベルを下げる、X線管懸垂器を大きく素早く移動させたい場合はレベルを上げることで、操作がスムーズになる。
さらに、撮影位置の微調整のためにX線の照射範囲を示すLEDランプを点灯させると、自動でアシストレベルを下げて、細かな位置合わせがしやすくなるといった便利な機能も搭載している。
新開発の「POWER GLIDE™」は、オプション品である。
新製品は、他にも、登録した位置にX線管懸垂器を自動で動かすオートポジショニング機能、断層画像が得られるトモシンセシス機能、体軸方向の長尺画像が得られる機能など、豊富なオプションをそろえている。
各医療施設の要望に応じた検査環境の向上に貢献する。
新製品は、多様なDRシステムとの組み合わせを可能にしている。お客様のニーズに沿って各医療施設の既存システムとも連携性・親和性が高いシステム構築が可能である。
https://www.med.shimadzu.co.jp/products/x-ray/08/01.html
関連先リンク:https://www.shimadzu.co.jp/
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