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2020.11.12

大阪大学歯学研究科とNVIDIAがディープラーニングの共同研究を開始、口腔がん早期発見AIの診断精度向上を目指す

  1. AI(人工知能)
  2. ディープラーニング
  3. 口腔がん
協業・共同研究NVIDIA

NVIDIAは、大阪大学大学院歯学研究科の平岡慎一郎助教が推進するAIを活用した口腔粘膜疾患の研究に参画し、口腔がんの早期発見を支援するAIモデルの開発に向けて、2020年9月28日に共同研究の契約を締結した。

口腔粘膜疾患の中でも、口腔がんは口内炎との違いが専門医でないと判別が難しいため、口内炎と誤診されやすく、消化器がんと異なり、視診での早期発見が可能にもかかわらず、発見時にはすでに切除不能な段階まで進展しているケースが多く、進行がんの割合が54%※1であるという報告もある。

そのため、地域の歯科医や医療機関など、専門医でない医師の見過ごしや誤診を防止し、早期発見を促すための対策が急務となっている。

平岡慎一郎助教は、大阪大学歯学部附属病院と大阪大学サイバーメディアセンターらが推進するS2DH (Social Smart Dental Hospital)プロジェクト※2をきっかけとして、同センター先進高性能計算機システムアーキテクチャ共同研究部門Lee Chonho特任准教授(常勤)らを中心とする同センターの研究チームらとの連携を通じて、ディープラーニングを用いた口腔粘膜疾患診断法を確立する研究に取り組んでいる。

2018年、口腔がんを判別可能なAIモデルの開発に向けて、AIの学習に必要となる良質で大量の症例写真の収集を第一のステップとし、共同研究機関からの協力を得て、口腔粘膜疾患写真を約3万枚収集した。

これは同分野の研究において、世界屈指の規模を誇るデータ量である。

NVIDIAは、共同研究契約締結前の2018年のデータ収集の段階より、医用画像におけるAIのエキスパートという立場から研究支援を行ってきた。

平岡慎一郎助教らの研究初期段階での課題は、大規模な学習データを、より効率的に精度向上させるためのノウハウの獲得であった。

そこで、データ収集後のアノテーション作業における必要なツール、データの前処理手法や使用すべきAIアルゴリズムなどのアドバイスをNVIDIAから提供することで、平岡慎一郎助教らは大量の画像を実際に使えるデータとして有効活用し、効率的に学習させることに成功した。

平岡慎一郎助教は、その学習環境としてNVIDIAのデータセンターGPUを搭載した大阪大学サイバーメディアセンターのスーパーコンピュータ、「OCTOPUS(Osaka university Cybermedia cenTer Over-Petascale Universal Supercomputer)」および研究用途に開発されたNVIDIAの高性能なグラフィックスカード、NVIDIA TITAN Vが搭載されたワークステーションを活用し、NVIDIAによる技術支援を受け効率的に研究を進めた。

その結果、作成されたAIモデルは、悪性腫瘍、口内炎、白板症、良性腫瘍の4クラスにおいて、非常に高い精度を達成した。

特に悪性腫瘍および口内炎の検出分類においてのモデルの精度は、感度、特異度ともに95%以上を達成している。

真の社会実装のためには、さらなる精度の向上が求められる。この度、平岡慎一郎助教らの研究グループは新たなAIモデルの開発を見据え、2020年から、NVIDIAと共同研究の連携を強化することとした。

具体的には、大阪大学歯学部附属病院口腔外科を受診された口腔粘膜疾患患者に対して、口腔外科専門医により診断情報のラベルを付与し、匿名化したデジタルデータを使用する。

それを用いて、日本をはじめNVIDIAの世界各拠点からのメンバーが参画し、AIの画期的な研究を支援するNVIDIA AI Technology Centerとの連携により、AIモデルの精度の向上をはじめ、診断の高速化など、今後の課題解決を目指す。

また、さらなる学習環境の強化、およびNVIDIAの医用画像向けプラットフォームであるNVIDIA Clara™ Imagingを活用する。

Clara Imagingは、開発者や研究者がデータ アノテーションを高速化し、専門領域に特化したAIモデルを構築し、最新のトレーニング済みモデルとリファレンスアプリケーションを使って、インテリジェントな画像処理ワークフローを導入することができるアプリケーション フレームワークである。

また、最適な推論パフォーマンスを引き出すための鍵となるライブラリ、NVIDIA(R) TensorRT™ を活用することで、学習済みのAIモデルを迅速に最適化し、検証・展開することが可能になる。

平岡慎一郎助教らが開発に取り組んでいる、口腔粘膜疾患の領域に関するこのような高精度のAIモデルは前例がなく、このAIモデルを社会実装することにより、世界中の口腔粘膜疾患の早期発見、早期診断に関しての貢献が期待される。

本研究をけん引する、大阪大学大学院歯学研究科 口腔外科学第一教室の平岡慎一郎助教は以下のように述べている。

「口腔がんや口内炎などの口腔粘膜疾患に関連する、このような大規模なAIプロジェクトは初のものとなります。まだ多くの解決すべき課題もありますが、NVIDIAとの協業により、本研究をさらに加速できると考えています。

さらにAI診断支援システムの早期社会実装を目指すことで、口腔がんの早期発見に対して大きなイノベーションもたらすことができると確信しています。

本研究の最終目的として、専門医でない医師、またオンラインの診療でも活用可能な、口腔がんの早期発見に特化した医療機器の開発に貢献し、口腔がんの治療成績の向上、また治療によるQuality Of Life(QOL)低下の防止を目指し、一人でも多くの口腔がんの患者さんを救いたいと考えています。」

NVIDIA 日本代表 兼 米国本社副社長の大崎真孝氏は、次のように述べている。

「学習環境としてNVIDIAのハードウェアから、Clara Imagingなどのソフトウェアまで、NVIDIAのAIプラットフォームを活用いただくことで、AI診断支援システムの研究開発をよりスムーズに進めることができます。本研究は、社会的に大変意義のある画期的な研究として、世界の口腔医療に変革をもたらすでしょう。」

※1 進行がんの割合 1181/2202 (54%)日本頭部癌学会雑誌 4.1.2015
※2 S2DH(Social Smart Dental Hospital)プロジェクト:大阪大学歯学部附属病院
が推進する産学連携プロジェクト http://s2dh.org

関連先リンク:https://www.nvidia.com/ja-jp/

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