オリンパス株式会社は、オランダの製薬会社 Norgine BVの子会社である英国医療機器メーカ、Arc Medical Design Limited(以下 Arc Medical Design 社)の株式100%を取得する契約を締結した。
同社は自社開発にとどまらず、最適なパートナーとの M&A を通じて、消化器疾患治療機器のラインアップ拡充や、大腸がんの診断・治療補助デバイスの開発に努め、早期診断、低侵襲治療に対する同社のコアコンピタンスをより強固なものとしていく。
本契約により、同社は Arc Medical Design 社の革新的な製品に関するすべての権利を取得する。
同社はこれまでも ENDOCUFF VISION™について、欧米市場で独占販売契約を有していた※1 が、今後は全ENDOCUFF製品群※2に関する設計、製造、販売、事業戦略を担うことになる。
本製品群の導入により、医療コストの削減、および患者の QOL 向上にさらに貢献していく。
同社消化器治療機器ビジネスユニットの Vice President である Mike Callaghan は以下のように述べている。
「Arc Medical Design 社をオリンパスグループにお迎えすることを大変喜ばしく感じています。ENDOCUFF VISION™は、当社の治療機器ポートフォリオにおける重要な製品であり、ENDOCUFF 製品群全体を当社が世の中に提供できることは大変素晴らしいことです。」
同社がこれまで欧米市場で販売を手がけていた Arc Medical Design 社の主力製品 ENDOCUFF VISION™は、大腸内視鏡の先端に取り付ける機器ある。
円周上にフレキシブルアームを備えた独自のデザインにより、フレキシブルアームが大腸のひだを掻き分け、粘膜を固定することで、大腸内視鏡検査や内視鏡的ポリープ切除術などにおける視認性の維持に貢献するように設計されている。
ENDOCUFFの技術を用いた大腸内視鏡検査は、標準的な大腸内視鏡検査と比較して、腺腫検出率(ADR)を最大11%上昇させることが研究※3により示されている。
この研究によれば、ADRが1%向上するごとに大腸がんのリスクが3%減少するとされている。したがって、検出率の向上により、より正確な診断が可能になれば、男女ともにがんの主要な死亡原因となっている大腸がんの死亡数の減少に貢献する可能性がある。
ENDOCUFFは、腺腫性ポリープの早期発見・治療に貢献していると考えられている※4。
同社は、Arc Medical Design社を子会社化することで、医療技術に関する専門性をさらに向上させるだけでなく、内視鏡分野におけるリーダーシップを強化することで、世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現に貢献していくとしている。
※1 日本国内販売なし、医薬品医療機器等法未承認品
※2 ENDOCUFF™、ENDOCUFF GLIDE™、ENTEROCUFF™、WIDE-EYE™ POLYTRAP、および現在開発中の複数の製品が含まれる。
※3 Williet, N et al: Effect of Endocuff-assisted colonoscopy on adenoma detection rate: meat-analysis of randomized controlled trials. Endoscopy 50(9): 846-860, 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29698990/
※4 Corley DA et al: Adenoma Detection Rate and Risk of Colorectal Cancer and Death. N Engl J Med 370(14): 1298–1306, 2014. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4036494/
関連先リンク:https://www.olympus.co.jp/
2025.10.02
シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス、日本において検査室向け血液凝固検査装置事業に参入~全自動血液凝固測定装置「CN-6000」「CN-3000」を販売開始~
2025.10.01
2025.10.01
2025.09.30
オリンパス、OLYSENSE CAD/AIを米国および欧州で発売 AIで進化する「インテリジェント内視鏡」─病変の早期発見と診断水準の向上に貢献
2025.09.30
日立ハイテク、筑波大学附属病院で陽子線治療システム2号機が治療開始~4社のコンソーシアムが陽子線治療施設を整備、20年にわたり運営をサポート~