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2025.04.01

富士フイルムメディカル、AI技術を用いて医師の読影業務を支援 「SYNAPSE SAI Report 構造化機能」提供開始 CT読影レポートの所見アラート機能の搭載・過去所見や症例の検索性向上

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富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、医師の読影業務を支援するビューワ一体型読影レポートシステム「SYNAPSE SAI Report(シナプス サイ レポート)」のオプションとして、CT読影レポートに記載された所見文と画像解析結果の矛盾をチェックする機能、過去所見や症例の検索スピード向上など、医師の読影業務を支援する「SYNAPSE SAI Report構造化機能」を富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原 芳博)を通じて2025年4月1日より提供開始する。同社独自の医学文章に最適化した自然言語処理技術「読影レポート構造化AI」を使って本機能を開発した。
なお、富士フイルムは本機能を4月11日~13日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」に出展する。

読影レポートは、放射線科医がCTやMRIの画像診断結果を記載する報告書のことである。日本の放射線科医1人当たりの読影件数は非常に多く、過重労働の状態にある。さらに、臨床医(依頼医)の読影レポートの未確認や記載内容の確認不足が問題視されており、厚生労働省は、2017年から3年連続で、この問題に対する注意喚起や取り組みに関する通知を発行している。また、読影レポートは臨床情報を含む重要なデータとして臨床研究や論文発表などで二次利用することが求められているが、医師特有の言い回しや医学専門用語を含んだ非定型の自由文で記載されており、レポートの記載内容をそのまま統計情報の作成やAI学習データ、プログラム開発などに利用することが困難だった。これまで、AI技術を活用した放射線科業務支援については、病変検出の画像診断が多かったため、読影レポート作成の業務効率化を支援するソリューションへの期待が高まっている。

「SYNAPSE SAI Report」は読影レポート作成の効率化を追求すべく、レポートとビューワが一体となるワークフロー支援機能を備えたシステムとして2023年7月に発売した。今回提供を開始する「SYNAPSE SAI Report構造化機能」は、医学文章に最適化した独自の自然言語処理技術「読影レポート構造化AI」により、医師が記載したCT検査の所見文を構造化し、作成されたレポートをデータベースに保存する「レポート構造化エンジン」を搭載した。また、「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」※の画像処理結果と所見文の矛盾をチェックしてアラートを表示する「所見アラート機能」、さらに、所見ごとのレポート構造化データを内容に応じて、折れ線グラフやレーダーチャートなどのマルチメディアで直感的に表現する「マルチメディアレポート」、構造化したデータから、過去所見、研究や症例の検索を可能とする「構造化データベース(DB)検索機能」も搭載した。

レポート構造化エンジン

レポートに記載した所見文に含まれる所見(結節など)、解剖(左肺S6など)、性状(境界明瞭など)、診断(転移性肺癌など)、測定値(径2cmなど)に関する用語を「読影レポート構造化AI」により抽出し、所見ごとに整理した上で、肝細胞癌をHCCと記載するなど表現の違いを吸収した構造化単語(構造化データベースに蓄積される単語)としてテーブル形式のデータベースに蓄積することが可能になる。蓄積されたデータは、二次利用機能に利用されることを想定している。

▲実際の画面イメージ。記載された所見文を上記のような形で構造化処理を行う。


1.主な機能

(1)所見アラート機能
「読影レポート構造化AI」を用いて、「SYNAPSE SAI viewer」の画像解析結果と所見文の臓器・解剖位置(左右)や性別などの情報との矛盾をチェックし、アラートを表示することでレポートの記載ミスを防ぐ。

▲所見記入欄にアラートが表示され、注意喚起を促す。

(2)マルチメディアレポート
臨床医(依頼医)が確認する読影レポートに加え、画像解析とCT所見文の構造化結果をグラフィカルに表示することにより、直感的に参照可能なレポートの形を実現した。

▲マルチメディアレポートの表示形式。
テキスト情報のみでなく、グラフやレーダーチャートも表示する。

▲有所見の臓器をハイライト表示することで検査目的外の所見に対する注意喚起を促す。

▲病変の経時変化をグラフ/レーダーチャート化して表示する。


(3)構造化DB検索機能

構造化データベースで検索をかけることで、従来の全文検索よりも操作性を向上させ、以下の点で業務の効率化を支援する。

① 表現の異なる同義語を検索可能に
例)「SAH」で検索した際、同義語である「くも膜下出血」などもまとめて検索できる。
※全文検索では同義語はヒットしない。

② 所見のポジティブ/ネガティブを区別可能
肯定的な所見(ポジティブ)と否定的な所見(ネガティブ)を区別して検索できる。
例)「~に腫瘍を認めます」という肯定的な所見のみを検索したい場合、「~腫瘍を認めません」という否定的な所見を検索結果から除くことが可能である。
※これまでの検索機能では、肯定的な所見と否定的な所見を区別する機能がなかった。

▲検索したいキーワードを入力。

▲検索したキーワードから構造化単語の候補を選択。

▲候補を選択し、ポジティブ、ネガティブを選択し、検索実行。

システム構成

レポート構造化機能は追加のハードウェアを必要とせず、基盤システム「SYNAPSE SAI Report」サーバのみで利用できる。

富士フイルムは、AI技術ブランド「REiLI」のもと、AI技術の医療における活用の幅を広げることで、医療画像診断支援、術前シミュレーションの支援、医療現場のワークフロー支援などに取り組んでいく。

※ SYNAPSE SAI viewerは以下の医療機器を含む製品の総称である。
SYNAPSE SAI viewer用 画像表示プログラム
販売名:画像診断ワークステーション用プログラム FS-V686型 認証番号:231ABBZX00028000
SYNAPSE SAI viewer用 肺結節検出プログラム
販売名:肺結節検出プログラムFS-AI688型 承認番号:30200BZX00150000
SYNAPSE SAI viewer用 画像処理プログラム
販売名:画像処理プログラム FS-AI683型 認証番号:231ABBZX00029000
SYNAPSE SAI viewer用 肋骨骨折検出プログラム
販売名:肋骨骨折検出プログラム FS-AI691型 承認番号:30300BZX00244000

2.品名

SYNAPSE SAI Report構造化機能

3.提供開始時期

2025年4月1日


▪問い合わせ
富士フイルムメディカル株式会社
マーケティング部
E-mail:shm-fms-hansoku@fujifilm.com

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