2024.05.20
医師の読影習熟度や活用シーンに応じた読影支援が可能に
2024年5月20日、エルピクセル株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:鎌田富久、以下「エルピクセル」)は、胸部X線画像の読影診断を支援するEIRL Chest Screening(1)について、ユーザーである医師が読影の習熟度や活用シーンに応じて感度優先/特異度優先の2つから選択出来る新モデルを発売した。EIRL Chest Screeningは、胸部X線画像から肺結節、浸潤影、無気肺、間質性陰影の候補域を検出するEIRL Chest XR(2)と、胸腔内の空気含有面積・肋骨横隔膜角・心胸郭比・縦隔幅・大動脈弓径を自動計測するEIRL Chest Metry(3)の2つのソフトウェアを組み合わせた製品である。製品発売以来、クリニックから大規模健診施設まで幅広く導入され、医師のワークフローを阻害することなく、読影診断における物理的・心理的負担を軽減を目指してきた。発売後も、医師のニーズに合わせて、精度改善や機能追加など複数回のバージョンアップを行ってきたことも本製品の特長である(資料1)。
今回の新モデルでは、医師の読影習熟度や時間の制約がある中で大量に読影しなければならない等の活用シーンに応じて、感度優先/特異度優先の二つからAIモデルを選択できる機能を追加した。AIモデルの選択が可能となることで、医師一人一人や多様なユースケースに応じた最適な支援の実現を目指す。
資料1. EIRL Chest Screeningの機能追加について
胸部X線検査は比較的安価に実施できることから、肺がん早期発見のための定期健康診断や入院時の検査等、幅広く実施されている。EIRL Chest Screeningはこうした胸部X線検査の読影を包括的にサポートすることを目的にしているが、幅広く実施される検査であるからこそ、ユースケースによって求められる性能が異なることが分かってきた。EIRL Chest Screeningをはじめ読影支援を行う医療AIソフトウェアでは、病変が疑われる箇所を検出する能力(感度)を高めるほど、異常がないものを正しく異常がないと判断する能力(特異度)は低くなり、この二つの性能はトレードオフの関係にある。しかし、以下のユースケースのように、どちらの性能を求めるかは医師や医療機関の状況によって異なる。
・特異度優先モデルのユースケース
定期健康診断における胸部X線検査など短時間で大量の読影を行わなければならないが、比較的有病率が低い。その場合、医師の読影をスムーズに進められることを優先したい。
・感度優先モデルのユースケース
一般外来など有症状の患者様が来院され肺病変の見落としを防ぎたい場合や、疑わしい所見を検出してほしい場合。また、誤検出をすぐに除外できるなど読影に熟練した医師が対応する場合にも積極的な拾い上げを優先したい。
こうした背景から、それぞれの医師が、それぞれの状況に合わせたモードを選択できる機能を追加した。今後も医師ひとりひとりに寄り添い、多様なシーンで活用することができる医療AIを目指し、柔軟なアップデートを実施していく。
医師単独で読影した場合と比べ、EIRL Chest Screening(旧モデル)を用いて読影した場合には、専門医で11.1%、経験5年未満の非専門医で15.5%の感度が上がることが認められた(4)。
上記の読影試験にて使用したデータを用いて新モデル単体の性能を検証したところ、感度優先モデルでは旧モデルに対して4.5ポイント感度が向上し68.8%に、特異度優先モデルでは旧モデルに対して8.7ポイント特異度が向上し、99.3%となった(表1,表2)。
表1. 感度及び陽性的中率(所見単位)
旧モデル |
感度優先モデル |
特異度優先モデル |
|
感度 |
64.3% |
68.8% |
61.6% |
陽性的中率 |
56.7% |
77.8% |
80.2% |
表2. 陰性的中率及び特異度(症例単位)
旧モデル |
感度優先モデル |
特異度優先モデル |
|
陰性的中率 |
90.9% |
91.3% |
89.2% |
特異度 |
90.6% |
98.1% |
99.3% |
・事例①
感度優先モデル/特異度優先モデル双方において間質性陰影が疑われる所見の検出が改善し、感度優先モデルでは結節影が疑われる所見も検出している事例
・事例②
感度優先モデル/特異度優先モデル双方において旧モデルと比較し偽陽性が改善された事例
※該当箇所以外の表示を消すなど、実際の製品の表示とは異なる場合がある。
・結節影について
円形・類円形の陰影で悪性の肺腫瘍(肺がん)のほかに良性肺腫瘍や様々な限局性の肺疾患が疑われる所見である。
・浸潤影について
結節影よりも広い範囲に及ぶ陰影で、主に肺炎や肺結核などの肺感染症に見られる画像所見である。
・無気肺について
肺が虚脱した状態を示す所見で、肺葉レベルから末梢の細気管支レベルまで生じる可能性がある。
・間質性陰影について
索状影、網状影、線状影などの特徴をもつ間質が変化した場合の所見である。
(参考:公益社団法人 日本人間ドック・予防医療学会「胸部X線」https://www.ningen-dock.jp/inspection_chest-x/)
(1)EIRL Chest Screeningは製品の総称である。2022年2月3日:胸部X線画像の読影診断を支援する EIRL Chest Screening、肺結節候補域の検出と5つの計測機能を有する新モデルとして販売開始(https://lpixel.net/news/press-release/2022/10501/)
(2)販売名:医用画像解析ソフトウェア EIRL Chest XR、 承認番号:30400BZX00285000
(3)販売名:医用画像解析ソフトウェア EIRL Chest Metry 認証番号:302AGBZX00101000
(4)医用画像解析ソフトウェア EIRL Chest XRの読影試験の結果を記載している。読影試験の詳細説明/異常陰影が認められる有所見画像88症例及び正常画像266症例の胸部単純X線画像を対象に、10名の医師による読影試験の結果。読影試験を行った10名の医師の内訳は以下の通り。放射線科専門医:3名、専門外医:7名(経験10年以上:3名、経験5年未満:4名)
エルピクセル株式会社 営業本部
TEL:03-6259-1713 Mail:eirl-cs@lpixel.net
URL:https://marketing.eirl.ai/ja/contact/
高度化するモダリティとともに、医療画像診断の作業は膨大化している。AIを活用した独自のアルゴリズムによって、脳MRI、胸部X線などの医療画像情報を解析し、効率的で、正確な診断が出来る環境の提供を目指す。
EIRLプロダクトサイト(医療従事者向け):https://eirl.ai/ja/
エルピクセル株式会社は、ライフサイエンス領域の画像解析に強みを持ち、医療・製薬・農業分野において画像解析技術、とりわけ人工知能技術を応用することで、高精度のソフトウエアを開発してきた。医師の診断を支援するAI画像診断支援技術「EIRL(エイル)」、創薬に特化した画像解析AI「IMACEL(イマセル)」を軸に事業を展開している。
LPIXEL公式ブログ(Note):https://note.com/lpixel/
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