島津製作所の臨床事業における開発・製造販売子会社である島津ダイアグノスティクス株式会社(以下SDC)は、11月22日から新生児スクリーニング検査用途のPCR試薬キット「TKSneoFinder」を国内の受託検査機関向けに販売する。
本製品は、新生児の血液から重症複合免疫不全症(SCID)、B細胞欠損症(BCD)および脊髄性筋萎縮症(SMA)の可能性を発見できる※1。「TKSneoFinder」の検査プレートは冷蔵保管が可能で、試薬の調整が不要なため、正確で安定した検査結果を簡便に得られる。
なお、本製品は、防衛医科大学校小児科学今井耕輔教授らの研究成果※2に基づき、臨床向け試薬の品質管理・安定供給に関する知見を活かしてSDCが製品化したものである。
今後、同社グループは本製品の販売に加え、2023年度内に受託分析子会社である株式会社島津テクノリサーチ(以下STR)において、これらの疾患のスクリーニング検査および研究用途の受託検査事業を開始する。
本製品が使用されるスクリーニング検査とは、疾患の発症可能性を調べて投薬・治療の機会を提供するための検査である。SCID、BCDやSMAは、適切な診断・治療が遅れると重篤な状態になることもあるため、発症前の発見および治療開始が重要である。
現在、SCID、BCDやSMAのスクリーニング検査を実施する自治体は増加しており、2023年7月時点で33都道府県に上る※3。STRは「TKSneoFinder」を利用したSCID、BCDやSMAのスクリーニング検査を自治体や地域の分娩施設などから請け負うことで、検査の全国的な普及に貢献する。
島津製作所は、従来から欧州・中国・日本で、先天性代謝異常症の新生児スクリーニング検査向けに液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を提供してきた※4。この検査は、既に自治体による公費負担で国内すべての新生児を対象に実施されている。
また、臨床分野のソフトウェア・試薬製造子会社である仏Biomaneo(ビオマネオ)社は、欧州で新生児スクリーニング検査向けに鎌状赤血球症の血液検査用試薬を販売している。
さらに、SDCは、B群レンサ球菌(GBS)の垂直感染(母子感染)を防ぐため、GBSスクリーニング検査用途の「B群レンサ球菌選択増菌・鑑別用培地 Strep B Carrot Broth™」※5を販売している。
同社グループは今後も引き続き、さまざまな製品・技術によって「新生児の健康」に貢献していく。
※1:SCID、BCDはT細胞受容体遺伝子再構成断片(TREC)、Igκ鎖遺伝子再構成断片(KREC)を、SMAは原因遺伝子(SMN1)の欠失の有無を測定して、各疾患の発症リスクを検査する。
※2:本製品は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の成育疾患克服等総合研究事業「核酸検出等の方法を用いた原発性免疫不全症等治療可能な新生児・小児期疾患に対する新生児マススクリーニング法の開発」の成果を利用している。
※3:一般社団法人 日本マススクリーニング学会のホームページより引用
https://www.jsms.gr.jp/contents04-02.html
※4:欧州・中国における「新生児マススクリーニング検査」には医療機器であるLC-MSが用いられる。
※5:「B群レンサ球菌選択増菌・鑑別用培地 Strep B Carrot Broth™」は、「産婦人科診療ガイドライン産科編」、米国疾病予防管理センター(CDC)で推奨されたGBS スクリーニング検査法である。
https://clinical-diagnostics.biz.sdc.shimadzu.co.jp/pickup/strep-b-carrot-broth/
希望納入価格:165,600円 / 1キット
販売目標:発売後1年間で480キット
製品ページURL:
https://clinical-diagnostics.biz.sdc.shimadzu.co.jp/products/69256/
※本製品は研究用である。
医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品あるいは医療機器として承認・認証等を受けていない。
▪問い合わせ
島津ダイアグノスティクス株式会社
メディカルアフェア本部 製品開発部
お問い合わせフォームURL:
https://corp.sdc.shimadzu.co.jp/question/
https://corp.sdc.shimadzu.co.jp/
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