エドワーズライフサイエンス株式会社(以下エドワーズ)は、血行動態をモニタリングするための新しいシステム「Acumen Hypotension Prediction Index(以下Acumen HPI)」を2023年9月8日に発売した。
非心臓手術中に発生する患者さんの低血圧※の可能性を医師に知らせる、今までにない予測機能を用いたモニタリングシステムである。
※平均動脈圧が65mmHg 未満である状態が1分間以上続くことと定義
非心臓手術中の低血圧は短時間であっても非心臓手術後心筋障害や急性腎障害の発生率が高まることが報告されており、手術中の患者の平均血圧を65mmHg以上に維持することが、これらの術後合併症の発生リスクの低減につながることが示唆されている1)。
従来のモニタリングでは、リアルタイムに表示される各種パラメータやトレンドから介入の判断が行われていたが、この新しいテクノロジーであるAcumen HPIの導入により、低血圧が発生する可能性を予測して治療の意思決定を支援することが可能となる。より早い段階での情報提供により、非心臓手術中の低血圧時間と頻度の減少に貢献2)する。
Acumen HPIは1億3千万の心周期のデータから、機械学習を用いて開発した低血圧予測のアルゴリズムである。この予測アルゴリズムを用い、患者の身体的特性と末梢動脈圧波形情報から、低血圧が発生する可能性を指数としてモニタに表示する。
また、患者の循環の状態を示す、その他の血行動態情報もリアルタイムでモニタリングしており、関連する血行動態パラメータにより低血圧の原因を示唆する。
Acumen HPIを利用するには、エドワーズ製モニタと患者の末梢動脈圧波形情報を得るための専用センサであるAcumen IQセンサが必要である。
今回発売したAcumen HPIは、低血圧発生を予測するモニタリングテクノロジーです。患者さんの血圧情報が予測されることで、より早期に治療の判断をサポートする情報を提供することが可能になりました。
エドワーズライフサイエンスは、50年以上にわたり、手術がより安全に行われ、患者さんが術後の合併症に苦しむことなく、少しでも早く普段の生活に戻れるよう、医師の意思決定をサポートするクリティカルケアモニタリング製品を提供し続けてきました。
これからもクリティカルケア領域において、臨床現場の患者さんのケアをサポートするためのモニタリング技術の革新に力を尽くして参ります。
血行動態モニタリングとは、患者の心臓の動きや心臓が送り出す血液量や流れの状態を監視することで、麻酔(手術)や救急・集中治療室での治療のタイミングで特に重要な役割を担う。
人体は、酸素が欠乏すると数分で影響が表れ、生命維持に影響する。そのため、血液を通じて各臓器へ十分な量の酸素供給を維持することが不可欠である。特に手術中は、麻酔薬の影響や出血などの様々な要因で、患者の血液量や血液の流れは刻一刻と変化する。
医師はさまざまなデバイスを使用して患者の血行動態を継続的に監視し、患者の臓器や組織に十分な血液と酸素が送られているかを評価している。患者の状態変化や問題を速やかに感知し、迅速に治療方針を決定することにより、患者の各臓器の機能低下などを未然に防ぎ、状態を改善させるための治療介入が可能になる。
手術中は治療部位だけではなく、患者の生命を維持し、手術の後もより速やかに回復できるよう、患者の全身の状態がモニタリングされている。
販売名/承認または認証番号
ヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォーム / 30200BZX00403000
Acumen IQ センサ/304AFBZX00032000
1) Salmasi V et al: Relationship between intraoperative hypotension, defined by either reduction from baseline or absolute thresholds, and acute kidney and myocardial injury after noncardiac surgery. A retrospective cohort analysis. Anesthesiology 126(1): 47-65, 2017
2) Wijnberge M et al: Effect of a Machine Learning–Derived Early Warning System for Intraoperative Hypotension vs Standard Care on Depth and Duration of Intraoperative Hypotension During Elective Noncardiac Surgery. The HYPE Randomized Clinical Trial. JAMA 323(11): 1052-1060, 2020
▪問い合わせ
エドワーズライフサイエンス株式会社
https://www.edwards.com/jp/
2025.09.02
2025.08.27
【Ubie株式会社】戸畑共立病院、「ユビー生成AI」活用で月間約400件の診断書作成時間の50%削減を実現~生成AIを活用したコメディカル主導のDXで、人員減でも業務継続が可能に~
2025.08.22
2025.08.19
Smart Opinion、AIで乳がん検診を革新!AI乳がん検診「Smaopi(スマオピ)」開始―医師の診断をAIで支援し、より確実な乳房超音波(エコー)検査を実現―
2025.08.19
富士フイルム、AI技術*1の活用で検査ワークフローの効率化に貢献 手軽に持ち運べる携帯型X線撮影装置の新モデル 新開発~在宅医療のほか、山間部・離島など幅広いシーンで簡便なX線検査をサポート~