島津製作所は、経験豊富な診療放射線技師の技量を、深層学習を応用したAI技術*1を用いて、高度なノウハウや技量に頼らず、撮影ボタン1つで最適な画像を提供する新ソフトウェア2種を開発した。
X線TVシステム SONIALVISION G4(ソニアルビジョン ジーフォー)のオプションとして、推奨の再構成パラメータを自動で設定するトモシンセシス*2アプリケーション「T-smart PRO(ティースマートプロ)」を全世界向けに、また腰椎の骨密度測定において、熟練者の作業内容を瞬時に行うアプリケーション「SmartBMD AI Assist(スマート ビーエムディ エーアイ アシスト)」を国内向けに、それぞれ4月7日から発売する。
なお同社は、2019年に大腿骨の骨密度測定AI Assistアプリケーションを発売しており、今回の腰椎用と合わせて骨密度測定用のパッケージが完成した。
平均寿命の伸びに伴い、高齢者の運動器(骨など、体を支え動かす組織や器官)の健康と、治療改善による生活の質の向上への意識が高まっている。
日本で骨粗しょう症の通院者数は230万人以上*3となっており、歩行など運動器の改善を目的にした人工関節置換術を受ける患者は60~80歳台で増加し、年間17万例以上*4の手術が行われている。
SONIALVISION G4は、2013年の発売以来、全世界で1600台以上を納入し、人工関節置換術後の経過観察や骨密度測定にも多く利用されている。
新しい2つのソフトウェアによって、手間をかけずに最適な画像が得られることで、検査に要する時間や医療従事者の負担を大幅に軽減し、多忙な医療現場での作業効率および装置稼働率の向上を支援する。
*1 新ソフトウェアに採用しているAI(人工知能)技術は自ら学習を繰り返すタイプのAIではない。
*2 トモシンセシスは、Tomography(断層撮影)とSynthesis(合成)から作られた医療用語で、連続した複数枚のX線撮影画像から断層画像を作り出す技術である。
*3 2019年厚生労働省の「国民生活基礎調査」より
*4 日本人工関節学会 日本人工関節登録制度事務局の資料より
人工関節や、骨を固定するワイヤなど金属物を用いた治療後には、詳細に患部を観察できるX線断層画像への要望がある。本ソフトウェアは、収集したデータから推奨のパラメータを自動設定し、トモシンセシスの画像再構成を行う。
本システムによるトモシンセシスは、低被ばくで金属アーチファクト(金属物の影響による画像の乱れ)を避けた高画質画像が得られること、立位での撮影が可能であり、日常の荷重状態で断層画像が得られることから、患部の観察に非常に有用性が高いと評価を受けている。
(1) 金属の自動抽出により、簡単に観察しやすい再構成画像を取得
T-smart PROでは、金属アーチファクトを低減するパラメータを自動で設定するため、金属の抽出精度が向上する。金属アーチファクトを最小限に抑えた再構成画像を簡単に取得することができる。
(2) 断層再構成の範囲を自動決定し、効率よく再構成画像を提供
手動設定の場合、関心領域が再構成画像から外れる可能性があるが、本システムでは被写体の高さや体厚を推定し、断層再構成の範囲を自動設定できるので、被検者に無理のない姿勢でトモシンセシス検査を受診することができる。
骨密度の測定には、X線画像上で骨領域を抽出して区分けする作業(セグメンテーション)が必要である。セグメンテーションには一定の経験と作業時間を要するが、本ソフトウェアでは、測定に用いる腰椎のX線画像に対し、深層学習を応用したAI技術で迅速に高精度なセグメンテーションを実施する。
手間をかけずに常に安定した画像で測定できるため、作業者毎の手動調整のばらつきを軽減することができ、医療現場の作業効率も向上する。
SONIALVISION G4に搭載のSmartBMDでは、骨密度測定法の中でも最も精度が高いと評価されているDXA法(Dual-energy X-ray absorptiometry:2種類のX線による測定法)を採用している。
販売名:X線TVシステム SONIALVISION G4
オプションソフトウェア価格:いずれも 200万円(税別)
製造販売認証番号:224ABBZX00052000
一般的名称:据置型デジタル式汎用X線透視診断装置
〔X線テレビシステム SONIALVISION G4〕
据置型デジタル式汎用X線診断装置
X線平面検出器読取式デジタルラジオグラフ
二重エネルギー骨X線吸収測定装置
▪詳しい製品説明はこちら
・X線テレビシステム SONIALVISION G4
・トモシンセシス
・SmartBMD
▪問い合わせ
株式会社島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/
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