国立大学法人神戸大学(以下、神戸大学)、国立大学法人香川大学(以下、香川大学)、日本赤十字社高知赤十字病院(以下、高知赤十字病院)、オリンパス株式会社(以下、オリンパス)、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、遠隔医療の支援、高度なカンファレンスの実現、および医療教育の高度化を目的とし、ドコモの閉域クラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド®」※1と高精細映像伝送システム「LiveU」を用いてリアルタイムでかつ複数の人による医用映像確認とアノテーション※2を実現する遠隔医療の実証実験(以下、本実証)を2022年2月23日(水)に行う。
本実証は、2021年5月24日(月)に発表した「4K映像伝送機材を用いた消化器内視鏡映像のリアルタイム伝送実証に成功」(以下、前回の実証)の内容を継続的に検討するものである。
前回の実証内容であった内視鏡映像に加え、今回は、手技を行う医師の手元の様子を合成した映像を、「ドコモオープンイノベーションクラウド」を経由して複数の人が同時に閲覧できるようにするほか、内視鏡映像へのアノテーションをリアルタイムに実施する。
セキュアなクラウドコンピューティング環境で高精細映像伝送対応の受信機(「LiveU」)の機能を実装することは国内初の試み※3となる。
本実証が成功すれば、セキュアな接続を維持したままアノテーションされたフルハイビジョン映像を場所や環境を選ばず複数の人で確認することができるようになり、多くの医療機関からのニーズに対応することが期待できる。
今までセキュアな通信環境の構築には専用線の活用が一般的で、受信機の設置に費用や時間がかかったが、「ドコモオープンイノベーションクラウド」を用いてクラウド上に受信機機能を実装することで、モバイル通信環境においても受信機を設置することなくセキュリティを確保できるようになる。
これにより、これまで高価な専用線を準備することが難しかった医療機関においても通信の機密性を担保することが実現される。
本実証は、消化器内視鏡使用に関する先進医療機関同士が連携し、「遠隔地からリアルタイムで疾病状況を確認・アノテーションを活用した診療支援」、「疾病状況などを複数施設間でリアルタイムに共有することによるカンファレンスの高度化」、および「アノテーションを活用した的確な映像共有による医療教育の高度化」を可能にすることを目的としている。
このような先進技術を医療現場に提供することによって、社会課題でもある地域医療格差の解消に向けた礎になることも期待できる。
ドコモは、今後の医療現場における高精細リアルタイム映像伝送の利活用の可能性を探り、将来的には5Gを活用したさらなる低遅延でかつ高精細な医用映像伝送の実現につなげていく。
本実証に参加した3医療機関と2社は、今後、オリンパスが提供する消化器内視鏡を中心とした高精細医用映像機器と、ドコモが提供する「ドコモオープンイノベーションクラウド」を活用し、セキュアな環境での医用映像の共有・アノテーションによる的確な医療現場間のコミュニケーションの浸透と、映像蓄積による充実した医療環境提供の実現、さらに消化器内視鏡診断・治療における遠隔医療への発展に向けた検討を進め、次世代の医療向けソリューションの創出や、新規ビジネスモデルの可能性を探っていく。
なお、2022年1月17日(月)からオンライン上で開催する「docomo Open House’22」で、本取り組みを紹介する。
▪「docomo Open House’22」イベントサイト
https://openhouse.docomo.ne.jp/
※1 本実証では、セキュアな通信が可能な閉域クラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」を使用する。
「ドコモオープンイノベーションクラウド」は、5G時代に求められる低遅延、高セキュリティなどMEC(Multi‐access Edge Computing)の特長を持つクラウドサービスである(各種条件により遅延時間は変動するため、ネットワークの伝送遅延が必ず一定以下になるといった保証をするものではない)。
※2 映像に線や図形を描画すること。
※3 2022年1月16日現在、ドコモ調べ。
*「ドコモオープンイノベーションクラウド」は、株式会社NTTドコモの登録商標である。
オリンパスが提供している消化器内視鏡システム「EVIS X1」とドコモが提供している「LiveU」を組み合わせ、本実証主体対応医療機関である神戸大学医学部付属病院で得られた内視鏡映像・手技風景映像を、「ドコモオープンイノベーションクラウド」を経由し、3医療機関の間で同時に共有し、各病院間での内視鏡映像のリアルタイム伝送による映像共有を実現。
併せて、その内視鏡映像にアノテーションを加え、アノテーション結果も3医療機関の間でリアルタイムに共有。
<検証項目>
(1) モバイル通信ネットワークと「ドコモオープンイノベーションクラウド」を経由したフルハイビジョン内視鏡映像のリアルタイム送受信の実現
(2) (1)で受信した映像の劣化、また映像遅延度合いの検証
(3) (1)の環境下における複数の人による同時アノテーションの検証
(4) (3)で受信した映像の劣化、また映像遅延度合いの検証
(5) 手技中の病院間におけるコミュニケーション状況の前回実証時からの改善状況確認
<想定される今後の活用方法>
・遠隔地からリアルタイムで疾病状況を確認・アノテーションを活用した診療支援
・疾病状況などを複数施設間でリアルタイムに共有することによるカンファレンスの高度化
・アノテーションを活用した的確な映像共有による医療教育の高度化
・消化器内視鏡システム「EVIS X1」
・高精細映像伝送システム「LiveU」
・「LiveU」の受信機機能を実装した「ドコモオープンイノベーションクラウド」
・アノテーションソフトウェア
・俯瞰映像撮影用4Kハンディタイプカメラ
・ドコモの通信回線(4G(LTE)回線)、およびタブレット(iPad)・術中コミュニケーション
2022年2月23日(水)
神戸大学医学部附属病院 国際がん医療・研究センター
神戸大学医学部 解剖学実習室
香川大学医学部附属病院 消化器内科
高知赤十字病院 消化器内科
<参考>
4K対応モバイル映像伝送ソリューション「LiveU」の概要
「LiveU」は、高画質映像の低遅延伝送に対応する小型モバイル中継装置である。HEVC、4K画質に対応した次世代モバイル中継装置で、高品質な素材伝送、低遅延を実現する。
「EVIS X1」は、2020年7月にオリンパスから国内発売された最上位機種の消化器内視鏡システムである。
EDOF(Extended Depth of Field)、RDI(Red Dichromatic Imaging)、TXI(Texture and Color Enhancement Imaging)、狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging)など、がんなどをはじめとする消化器疾患のより高精度な観察・治療をめざし、オリンパス独自の技術を搭載している。
「EVIS X1」は、オリンパス独自の技術の搭載に加え、従来機である「EVIS LUCERA ELITE」と「EVIS EXERA III」の、それぞれ異なるスコープラインアップとの互換性も確保している。
これにより幅広いラインアップのスコープをお使いいただけ、内視鏡による診断・治療の可能性拡大に貢献する。
画像左:消化器内視鏡システム 「EVIS X1」(システムセット例)
画像右:(左上)EVIS X1 ビデオシステムセンター OLYMPUS CV-1500
(右上)上部消化管汎用ビデオスコープOLYMPUS GIF-EZ1500
(左下)上部消化管汎用ビデオスコープOLYMPUS GIF-XZ1200
(右下)大腸汎用ビデオスコープOLYMPUS CF-XZ1200シリーズ
※ 製造販売元はオリンパスメディカルシステムズ株式会社である。
※ 本リリースに掲載されている社名および製品名は各社の商標または登録商標である。
▪問い合わせ
オリンパス株式会社
https://www.olympus.co.jp/
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