日本ストライカー株式会社は、2021年11月に肩関節置換手術の際に人工肩関節(以下、インプラント)を適切な角度で挿入支援するピンガイド「PSIガイド」※1の薬事承認を受け、全国の整形外科ならびに肩専門医に対して2022年1月から順次販売する。
PSIガイドは、患部を3Dデータとして立体表示させる術前計画ソフトウェア「Blueprint(ブループリント)」とともに使用される。
ストライカーでは、ロボティクス技術やソフトウェア製品を通じてデジタル活用による医療の向上を目指す「Advanced Digital Healthcare」を推進しており、これらの製品もこの取り組みの一つである。
一般的に肩関節と称される部位は、肩甲骨側の関節窩(かんせつか:丸いくぼみ)と上腕骨の上腕骨頭(球体状の先端部)が連結する肩甲上腕関節を中心に構成され、他の関節と比較しても多方向に対し可動域が広いという特徴がある。
加齢などを主因とする変形性肩関節症が進行すると人工肩関節への置換が必要になり、日本国内では年間約5,000症例※2の人工肩関節置換術が行われている。
その多くは平面的なデータをもとに、医師の経験と判断によって行われているが、術後のQOL(生活の質)向上の観点から可動域を確保し、合併症を低減するためには精緻な術前計画とともに、適切な位置や角度にインプラントを設置することが重要である。
2014年に旧ライトメディカル株式会社から発売したBlueprint術前計画ソフトウェアは、CT画像をもとに患部をモニタ上に3Dデータとして立体的に再現し、患者個々の体側データと併せて表示させる。
これにより術前計画時にモニタ画面上でインプラントを疑似的に患部に設置し、最適なインプラントのサイズを計測し、術後の可動域のシミュレーションを行うことができる。
今回発売するPSIガイドは、術中に使用されるチタン合金製のピンガイドで、3Dプリント技術を用いることで、患者個々の骨の形状データに合わせてオーダーメイドで制作する。
PSIガイドは、術中にBlueprint術前計画ソフトウェア上で推奨される角度を保ったままインプラントの挿入を支援するため、インプラントの設置精度を高め、術後成績の向上と合併症の低減が期待できる。
また、専用の電子カルテも完備することで、術後も患者ごとの3Dデジタル情報を管理・活用できる。
同社は2021年6月にライトメディカル株式会社と合併し、上肢 (肩、肘、手首、手)・下肢 (足と足首)分野における製品ポートフォリオが拡大し、術前計画テクノロジーやロボティクス技術のさらなる発展を目指している。
デジタル技術を活用することで、これまで以上に幅広い医療の選択肢を、医療従事者とその先の患者へ提供し、医療の向上に貢献していくとしている。
※1 PSI=Patient Specific Instrument(患者さん個々のオーダーメイドで制作される器具の意)
※2 出所『厚生労働省 第6回NDBオープンデータ』(2019年4月~2020年3月)
販売名:トルニエ ブループリント 3Dプランニング+PSI
一般的名称:患者適合型単回使用関節手術用器械、X線CT診断装置用プログラム
医療機器承認番号:30300BZX00321000
管理医療機器
販売名:PSI手術器械
一般的名称: 関節手術用器械
医療機器届出番号:13B1X10209000987
一般医療機器
関連先リンク: https://www.stryker.com/jp/
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