2021.10.11
富士フイルム株式会社は、同社のカセッテサイズデジタルX線画像診断装置(以下、カセッテDR)と連携して使用する小型拡張ユニット「EX-Mobile(イーエックス モバイル)」を、富士フイルムメディカル株式会社を通じて10月25日より発売する。
「EX-Mobile」は、AI技術※1を活用して胸部X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の候補領域を検出する「胸部X線画像病変検出ソフトウェアCXR-AID(以下、CXR-AID)」※2の動作環境を提供するものである。
「EX-Mobile」の活用により、救急治療室、クリニック、在宅診療などの幅広い臨床現場で「CXR-AID」の解析結果をコンソール上ですぐに確認することができ、さまざまな医療現場で効率的なワークフローの実現に貢献する。
X線検査では、撮影した画像を診断するためのシステムに転送し、読影医が読影・診断する。
昨今、画像診断におけるAI技術の活用の広がりとともに、救急現場や病棟のベッドサイド、在宅診療など、さまざまな臨床現場において、スピーディーで適切な診断につなげるため、AI技術を活用した画像解析ソフトウェアの結果を、その場で確認するソリューションが求められている。
しかし、一般的に、AI技術を活用した画像解析ソフトウェアは処理負荷が大きく、汎用PCでは解析結果の確認に時間がかかるため、解析処理の時間短縮が課題となっていた。
今回発売する「EX-Mobile」は、AI技術を活用して胸部単純X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の候補領域を検出し、医師の画像診断を支援する同社のソフトウェア「CXR-AID」の動作環境を提供する小型拡張ユニットである。
本拡張ユニットにインストールした「CXR-AID」が、カセッテDRから胸部X線画像データを受信し、拡張ユニットに内蔵されたGPU※3で高速処理した解析結果をカセッテDRのコンソール上に即時に提示する※4。
「EX-Mobile」は重量約500gと軽量小型で、汎用X線撮影装置や移動型X線撮影装置などを使う現場で使用できるため、救急や在宅診療、また新型コロナウイルス感染症対策として設置された発熱外来用仮設テント内など、さまざまな環境下におけるX線撮影において、迅速な診断のための活用が期待される。
「EX-Mobile」を活用することで、医療従事者間での素早い情報共有が可能となり、医療従事者の効率的なワークフローの実現に寄与する。
富士フイルムは、AI技術ブランド「REiLI」のもと、医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、そして医療機器の保守サービスに活用できるAI技術の開発を進めるとともに、医療機関にとって最適な提供方法・利用環境を実現することで、多くの医療現場の画像診断支援やワークフローの支援に取り組んでいく。
同社のカセッテDR「FUJIFILM DR CALNEO Smart(カルネオ スマート)」シリーズおよび「FUJIFILM DR CALNEO Flow(カルネオ フロー)」シリーズと連携できる。X線撮影室や病室で撮影した後に、CXR-AIDの解析結果をコンソール上で確認可能である。
また、すぐにPACSへ元画像とともに解析結果画像を転送でき、読影医の速やかな画像診断を支援する。さらに、救命救急室や隔離病棟など病院内外複数の場所で使用することもできる。
カセッテDR+EX-Mobileによるソリューション例
EX-Mobileにインストールした「CXR-AID」が、カセッテDR(CALNEO Smart)から胸部X線画像データを受信し、解析結果をカセッテDRのコンソール上に即時に提示する。
「CALNEO Xair(カルネオ エックスエアー)」は在宅医療などにおいて簡便なX線検査を実現する携帯型X線撮影装置である。
「EX-Mobile」を接続したカセッテDRを利用することにより、在宅診療、災害現場など幅広いシーンにおいて、X線撮影後、その場でCXR-AIDの解析結果を確認することができる。
解析結果は、撮影した元画像とともに汎用画像保管診断装置(PACS)に転送が可能で、医師が画像診断ワークステーション上で診断を行う際に解析結果を補助情報として利用できる。
同社のクリニック向け画像診断ワークステーション「C@RNACORE(カルナコア)」にも対応しており、クリニックの医師が「C@RNACORE」上で画像診断を行う際に、CXR-AIDの解析結果を参照することで、異常所見の見落とし防止を支援する。
「C@RNACORE」に「EX-Mobile」を接続することで、DRカセッテのみならずCRシステム※5を含む汎用X線撮影装置で撮影した画像を解析することが可能である。
富士フイルムの移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオ アクロ)」上で「EX-Mobile」と同様の動作環境を提供する外部画像処理キットも同日発売する。
カルネオ アクロは、小型軽量で機動性に優れたデザインで、救命救急室や手術室など、一刻を争う処置が行われる環境下でも使用される。
また、患者が病室から移動せずにベッドサイドでX線撮影ができるため、コロナ禍においては、肺炎が疑われる患者の胸部X線撮影にも用いられている。
本外部画像処理キットを装置に搭載することにより、カルネオアクロのコンソール上でCXR-AID解析結果を確認できる。
「CXR-AID」は、本年8月に発売したAI技術を活用して胸部単純X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の3つの画像所見を検出し、医師の画像診断を支援するソフトウェアである。
結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の候補領域を検出し、それらの異常領域の存在の可能性(確信度)を青から赤までのグラデーションカラーで表示。医師の見落とし防止を支援する。
※1 AI技術のひとつであるディープラーニングを設計に用いた、コンピュータ支援検出ソフトウェア(Computer-Aided Detection =CAD)。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。
※2 胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID
販売名:胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型
承認番号:30300BZX00188000
※3 GPUは3次元グラフィックスなどの画像を作成・処理する際の演算を行う半導体プロセッサで、高速演算処理を可能にし、大量の並列演算が必要となるDeep Learning処理に適していると言われている。
※4 コンソールでの解析結果の表示は、「CXR-AID」による処理が実施された事を確認するためのものであり、診断を目的としたものではない。CXR-AIDの解析結果を利用した読影は画像診断ワークステーションで行う必要がある。
※5 Computed Radiography システム
■オプション名称 拡張ユニット EX-Mobile
拡張ユニット EX-Mobileは下記発売中製品のオプションの総称。
・カセッテサイズデジタルX線画像診断装置
「FUJIFILM DR CALNEO Smart(カルネオ スマート)」シリーズ
(販売名:デジタルラジオグラフィ DR-ID 1200/認証番号:第226ABBZX00085000号)
「FUJIFILM DR CALNEO Flow(カルネオフロー)」シリーズ
(販売名:デジタルラジオグラフィ DR-ID1800/認証番号:第302ABBZX00021000号)
・クリニック向け医用画像診断ワークステーション
「C@RNACORE(カルナコア)」
(販売名:富士画像診断ワークステーション CC-WS674型/認証番号:第22200BZX00909000号)
■オプション名称 外部画像処理キット
下記発売中製品のオプションとして提供。
・移動型デジタルX線撮影装置
「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオ アクロ)」
(販売名:富士フイルム DR-XD 1000/認証番号:第228ABBZX00132000号)
「FUJIFILM DR CALNEO Go PLUS(カルネオ ゴー プラス)」
(製造販売業者:株式会社島津製作所/販売名:回診用X線撮影装置 CALNEO Go/認証番号:第225ABBZX00080000号)
■発売日
2021年10月25日
関連先リンク:https://www.fujifilm.com/fms/ja
TEL:03-6419-8033
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