2026.08.24
新しい手術ロボット「ダビンチSP」でのどのがんを治療 ~きずがなく、口の中からがんを取り出す手術で、患者さんの負担を最小限に~ 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター
地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(所在地:大阪市中央区、総長:松浦 成昭)は、2026年6月に導入した新規手術ロボット「ダビンチSP」を用いて、当センターとして初めてのどのがん(中咽頭がん)のロボット手術を行ったので、お知らせする。
新たに導入した「ダビンチSP」により、患者さんの負担を最小限することが可能となる。今後は、ダビンチSPを用いた頭頸部(のど)がん手術において年間50件の実施を目指し、医療の質の向上に取り組む。
【ポイント】
・ダビンチSPを用いたのどのがん手術を提供できる施設は、全国的にもまだ限られている。そのため、今回の取り組みは、大阪府のみならず関西圏におけるがん治療の向上にも大きく寄与するものである。
・これまでのロボット手術と比較し、より深い場所にあるがんの切除が可能となり、同時に患者さんの身体にかかる負荷がさらに軽減される。
・ダビンチSPによる頭頸部(のど)がん手術において、年間約50件の実施を目標としている。
【ダビンチSPによる頭頸部がん手術における特徴】
のど(咽頭・喉頭)にできたがんはこれまで、首の皮膚を切って奥に進み、がんの部分を取り出していた。この手術をすると、切った所がしばらくの間、痛むし、首の皮膚の目立つきずは一生残る。さらに手術の影響で、食べ物を飲み込んだり、声を出すことに支障をきたす場合もあった。のどのがんは口の奥にできますので、胃カメラのような内視鏡を口から入れてがんの部分を取る方法(ESD)が開発され、当センターでも先駆けて行ってきたが、がんの大きさ、深さ、場所によって適応が限られてきた。
この状況を改善するために当センターの頭頸部外科(耳鼻咽喉科)では、2024年より主にお腹の手術に使われてきた手術支援ロボット「ダビンチXi」を用いて、口の中からがんを取り出す手術を開始した。2025年度には年間14件の実績を重ね、患者さんの負担や苦痛が少ないことを実感してきた。しかし、従来のロボットは4本の腕(アーム)があり、口の中に十分なスペースがないので、何とか4本入っても、アーム同士がぶつかって動かしにくく、手術操作が円滑に行かないこともあった。新しい機種である「ダビンチSP」はアームが1本なので、簡単に入り、奥で4本に分かれて動かすので、操作性は良好である。操作がしやすいと手術時間が短く、患者さんへの無理な負荷をかけることもなく、手術をすることができるので、結果的に患者さんの受ける負担は軽減され、早い回復につながる。
【関係者コメント】
頭頸部外科(耳鼻咽喉科)診療主任 是松 瑞樹氏
「2024年からロボット支援手術を開始して、口の中からのどのがんの切除ができるようになりましたが、視野が取りにくい、がんの場所が深いなどの理由で、口からの手術ができず、首を切る大きな手術や放射線治療を行わざるを得ない患者さんも多くいらっしゃいました。この度、ダビンチSPの導入によりこれまでアプローチが難しかった患者さんに対しても、口からの切除術ができるようになりました。一人でも多くの患者さんが手術後も「食べる」「話す」機能を維持し早期に社会復帰できるよう、常に新しい医療技術や知見を取り入れ、質の高い医療を提供してまいります。」
【今後の展開】
大阪国際がんセンターでは、新たに導入した「ダビンチSP」の強みを最大限に活かした治療を推進し、年間1000件規模のロボット手術の実施を目指していく。頭頸部(のど)がん手術においては、年間50件の実施を目標に掲げ、大阪府内だけでなく、関西圏のニーズのある患者さんに応えていきたいと考えている。今後も安全性を最優先にしながら、患者さんのQOL(生活の質)を維持・向上するように努めていく。
【参考】
・ロボットとは
がんの治療の中心は手術ですが、手術による痛みや患者への負担をできるだけ少なくする取組み(低侵襲手術)が進められてきた。機械工学などの進歩により、その目的にあった手術機器が開発され、4本の腕(アーム)を持つので「ロボット」と呼ばれるようになった。通常の手術のように皮膚を大きく切るのではなく、従来の手術ロボット「ダビンチXi」の場合、直径約1cmの小さな穴を4つ開けてアームや器具を挿入し、操作を行う。
からだの中はモニターを通して観察しますが、直接目で見るよりも拡大して見えますし、目で見るのが難しい狭い所も鮮明に見えて、実際よりも視野が良好になる利点がある。手術器具も私たちの手と同じような感覚で、物をつかんだり切ったりできるし、「手振れ」が全くないので、非常に繊細な操作ができる。
・「ダビンチSP」の特徴
従来の「ダビンチXi」では、4本のアームがあるので4つの穴を開ける必要があったが、1つのアームを1つの穴から入れて手術できる新しい機種ダビンチSPが開発されたので、大阪国際がんセンターは導入することにした。傷は1か所なので、痛みはさらに少なく、ほとんど目立たない。従来は4本のアームがぶつかって動かしにくいことがあったが、今回の機種は1本のアームなのでそれがない。非常に狭い場所にも入っていき、手術もしやすい。従来の「ダビンチXi」では難しかったのどや乳房の手術もできる。
【お問い合わせ先】
TEL 06-6945-1181
地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター
事務局 経営改革グループ
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