2026.08.24
バイエル薬品、「ヒアニュオ®」、HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する一次治療として製造販売承認を取得
バイエル薬品株式会社(以下「バイエル薬品」)は本日、「ヒアニュオ®錠10mg」(一般名:セバベルチニブ水和物、以下「ヒアニュオ®」)について、「HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能又は効果として、製造販売承認を取得したことを発表した。
肺がんは最もよく知られているがんの1つであり、日本においても死亡率が高いがんである。非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer: NSCLC) は、すべての肺がんのうちの約80~85%を占めている¹。ドライバー遺伝子変異を有するNSCLCでは治療が進歩してきたものの、変異の種類によっては治療選択肢が限られている。進行型NSCLCの5年生存率は約9~10%にとどまっており、依然としてアンメットメディカルニーズが高い領域²である。NSCLCにおけるドライバー遺伝子変異の1つがHER2変異であり、NSCLCの約2~4%の症例で報告³されている。
ヒアニュオ®は、経口投与可能な可逆的チロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor: TKI) である。本適応に対し、ヒアニュオ®は日本国内において初めて承認された、一次治療を含む治療ラインを問わずに使用可能な唯一の分子標的薬となる。また、本剤はチロシンキナーゼドメイン(tyrosine kinase domain: TKD)変異およびnon-TKD変異を有する患者さんのデータを含む臨床試験データに基づき、遺伝子変異のドメインや種類を問わず、HER2遺伝子変異を有するNSCLCの治療薬として承認されている。さらに、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対し、2024年11月27日に厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。
今回の承認取得は、国際共同第I/II相SOHO-01試験のデータに基づくものである。その中では、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発NSCLCで、全身薬物療法未治療の患者さんに対し、主要評価項目である客観的奏効率(objective response rate: ORR)は75.3%(95% CI: 63.9-84.7, N=73)を示した⁴。また、奏効期間(duration of response: DOR)の中央値は12.2ヵ月(95% CI: 8.8-推定不能, N=73)、無増悪生存期間(progression-free survival: PFS)の中央値は13.5ヵ月(95% CI: 10.0-推定不可, N=73)⁴であった。安全性については、管理可能な安全プロファイルを示し、最もよくみられた有害事象は下痢や発疹であった。投与中止につながった有害事象の発現率は3% である⁴, ⁵。
国立がん研究センター東病院呼吸器内科長の後藤功一先生は次のように述べている。「アンメットメディカルニーズの高いHER2遺伝子変異陽性NSCLCに対して、ヒアニュオは臨床的に意義のある有効性に加え、管理可能な安全性プロファイルが示されています。これまでHER2遺伝子変異を標的とした治療薬は、既治療患者を対象として承認されていましたが、ヒアニュオがHER2遺伝子変異の種類による制限なく一次治療から使用可能となったことは大きな前進であり、ヒアニュオは新たな治療選択肢として期待されます」
バイエル薬品執行役員カントリーメディカルディレクターである山中 聡 氏は、次のように述べている。「このたび、ヒアニュオが承認されたことを大変嬉しく思います。今回の承認は、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLCの患者さんに新たな治療選択肢をお届けするものであり、アンメットメディカルニーズの解決に向けた大きな一歩です。また、ヒアニュオの一次治療における適応は世界初の承認であり、患者さん一人ひとりに応じた治療選択の実現に貢献できるものと期待しています。バイエルは引き続き、革新的新薬による医療の変革を推進し、まだ満たされぬ多くの患者さんへ貢献していきます」
ヒアニュオ®の承認取得は、同社にとって肺がん領域への参入を意味するとともに、プレシジョンオンコロジー領域におけるプレゼンス強化に向けた重要なマイルストーンでもある。今後も、革新的な治療選択肢の提供を通じて、より多くのがん患者さんの治療アウトカムの向上に取り組んでいく。
【ヒアニュオ®について】
ヒアニュオ®は、経口投与可能な可逆的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であり、HER2エクソン20挿入変異やHER2変異を含む変異型HER2を強力に阻害する。ヒアニュオ®は、がん細胞の成長に関連するチロシンキナーゼと呼ばれる特定の酵素を阻害することによって作用する。可逆的TKIは、標的を一時的にブロックすることができるため、治療のより正確なコントロールが可能であり、不可逆的TKIと比較して長期的な副作用を軽減する可能性がある。
ヒアニュオ®は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学のブロード研究所とバイエルの戦略的研究提携の成果である。ヒアニュオ®は現在、米国や中国のほか、その他複数の国や地域において承認されている。
【SOHO-01試験について】
SOHO-01(NCT05099172)試験は、EGFRおよび/またはHER2遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌患者を対象とした、ヒアニュオ®のファースト・イン・ヒューマン、非盲検、第I/II相試験である。本試験では、患者にヒアニュオ®を3週間を1サイクルとして経口投与し、安全性、忍容性、薬物動態ならびに有効性を評価した。
【非小細胞肺がん(NSCLC)について】
肺がんは世界的に死亡率が高いがんの1つである。NSCLCは全ての肺がんの約80%~85%以上占める最も一般的なタイプである。NSCLC患者の約2%から4%がHER2遺伝子変異を有すると推計されている。NSCLCを有する患者のうち、約80%はがんが既に進行したステージに進んでおり、治療が難しくなっている。HER2遺伝子変異を有するNSCLC患者さんは治療法が限られており、新たな治療選択肢が必要とされている。
<ヒアニュオ®の概要>
| 販売名 | ヒアニュオ®錠 10mL |
| 一般名 | セバベルチニブ水和物(Sevabertinib Hydrate) |
| 効能・効果 | HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌 |
| 用法・用量 | 通常、成人には、セバベルチニブとして1回20mgを1日2回食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 |
| 製造販売承認日 | 2026年8月24日 |
| 製造販売元 | バイエル薬品株式会社 |
References:
1. World Health Organization, Lung Cancer. Available at: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/lung-cancer. Accessed July 2026.
2. World Cancer Research Fund. Cancer Survival Statistics. Available at: https://www.wcrf.org/preventing-cancer/cancer-statistics/cancer-survival-statistics/. Accessed July 2026.
3. Yu X, Ji X, Su C. HER2-Altered Non-Small Cell Lung Cancer: Biology, Clinicopathologic Features, and Emerging Therapies. Front Oncol. 2022 Mar 29;12:860313. doi: 10.3389/fonc.2022.860313.
4. Herbert H. Loong, et al. SOHO-01: Updated safety and efficacy of sevabertinib in patients with advanced HER2-mutant non-small cell lung cancer (NSCLC). Poster presented at: 2026 ASCO Annual Meeting: May 27, 2026. https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.2026.44.16_suppl.8622
5. Xiuning Le, M.D., Ph.D., et al. Sevabertinib in Advanced HER2-Mutant Non–Small-Cell Lung Cancer. The New England Journal of Medicine. N Engl J Med 2025;393:1819-1832, DOI: 10.1056/NEJMoa2511065. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2511065
■問い合わせ
バイエル薬品株式会社
https://www.pharma.bayer.jp/ja-jp
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