エルピクセル株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:鎌田富久、以下「エルピクセル」)は、胸部CT画像から肺結節候補域を検出し、医師の診断を支援するEIRL Chest CTについて、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、2025年3月25日付で医療機器製造販売承認(販売名:医用画像解析ソフトウェア EIRL Chest CT2、製造販売承認番号:30700BZX00064000)を取得し、販売を開始した。
EIRL Chest CTは、胸部CT画像から抽出した肺結節候補領域について、体積、最大径、CT値(最大・最小・平均値・標準偏差)を自動計測する。通常のCT検査より照射線量を低減させて撮影する「低線量CT」にも対応している。
エルピクセルが提供する画像診断支援AI「EIRL」シリーズは、2019年にシリーズ最初の製品となる脳MRI画像から脳動脈瘤の候補点を検出する EIRL Brain Aneurysm1を皮切りに、頭部・胸部・大腸の3つの領域で9つの製品をリリースしてきた。これまでに、新規承認・認証の取得、一部変更申請の承認を合わせて大学病院から診療所まで幅広く、47都道府県全てにおいて累計900以上の医療施設に導入され、総解析件数は1000万件を突破した2。ユーザーである医師からのフィードバックを受け、性能改善や機能追加などバージョンアップを行うことで、医療現場で確かに活用されるAIへと進化してきた。
肺がんは、日本における死因第一位である悪性新生物(腫瘍)で、高い死亡数・死亡率を示している3。こうした状況を改善するためには、何よりも早期発見と早期治療が肝要であり、肺がんが疑われる肺結節を早期に発見する目的で、胸部X線検査やCT検査が実施されている。一般に、自治体や事業所等の定期健康診断で行われる胸部X線検査において、何らかの所見が認められた場合には、精密検査として胸部CT検査を行う。また、入院患者のフォローアップとして定期的に胸部CT検査が行われるなど、医療施設では定常的に胸部CT検査が行われている。
日本CT検診学会が示す「読影の留意点」の一つとして、肺がん(肺結節)について「10 mmを超えても見落とす事あり4」と指摘されるなど、胸部CT検査には常に高い精度が求められている。しかしながら、医師の業務逼迫等により1症例にかけられる読影時間には限度がある。また、見落としや誤診を防ぐための「二重読影」を実施していない医療施設は3割以上に及ぶとされている5。
そこで、エルピクセルでは、肺がんの早期発見を包括的にサポートするため、胸部X線ではEIRL Chest Screening6に加え、EIRL Chest CTを提供している。
※肺結節について
X線・CT画像では、空気は黒く、骨・筋肉・血液などの水分は白く写る。通常は黒く映る部分が白く見えた場合、肺がん、肺結核、肺炎などの可能性が疑われる。中でも肺がんは、限局性に白く写ることが多く、その陰影を結節影と呼ぶ。定期健康診断などで実施される胸部X線・CT検査において、そういった「結節影」が見られた場合には、精密検査によって確認をする必要がある。
・機能
肺野内に位置し、以下のサイズを満たす肺結節候補領域を検出し、領域を縁取りして示すことで、医師の読影を支援する。また、体積、最大径、CT値(最大・最小・平均値・標準偏差)を自動計測する。
(1) 充実型:3㎜以上30㎜以下
(2) 部分充実型:5㎜以上30㎜以下
(3)すりガラス型:5㎜以上30㎜以下
・性能
読影試験7では、専門医・非専門医ともに、医師単独に比べて本製品を併用して読影した場合に感度(対象疾患・所見を検出する能力)の向上が認められた。全体では、9.1ポイント、非専門医では12.5ポイントの向上が認められた。
・全読影医
|
EIRL併用 |
医師単独 |
感度 |
83.1% |
74.0% |
特異度 |
90.5% |
94.0% |
偽陽性率 |
9.5% |
6.0% |
・専門医
|
EIRL併用 |
医師単独 |
感度 |
80.4% |
74.6% |
特異度 |
90.0% |
93.7% |
偽陽性率 |
10.0% |
6.3% |
・非専門医
|
EIRL併用 |
医師単独 |
感度 |
85.8% |
73.3% |
特異度 |
91.0% |
94.2% |
偽陽性率 |
9.0% |
5.8% |
・検出例
① 18.6mm 充実型
② 17.4mm 部分充実型
③ 12.5mm すりガラス型
1 販売名:医用画像解析ソフトウェア EIRL aneurysm 製造販売承認番号:30100BZX00142000
2 2025年2月28日時点。トライアル含む。
3 厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計」
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/h7.pdf)
4 日本CT検診学会「低線量CT による肺がん検診の肺結節の 判定基準と経過観察の考え方 第5版」
(https://www.jscts.org/pdf/guideline/gls5th201710.pdf)
5 人間ドック学会「本学会会員施設における低線量CT肺がん検診の実施状況に関する調査報告」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ningendock/33/5/33_739/_pdf/-char/ja)
6 Chest Screeningは製品の総称です。
販売名:医用画像解析ソフトウェア EIRL Chest XR 製造販売承認番号:30400BZX00285000
販売名:医用画像解析ソフトウェア EIRL Chest Metry 製造販売認証番号:302AGBZX00101000
7 エルピクセルにて、肺結節が認められる有所見画像60症例及び正常画像178症例の胸部CT画像を対象に、16名の医師による読影試験を行った。
読影試験を行った16名の医師の内訳は、専門医:8名、非専門医:8名である。
【製品に関するお問い合わせ】
エルピクセル株式会社 EIRLビジネス本部
TEL:03-6259-1713 Mail:eirl-cs@lpixel.net
URL:https://marketing.eirl.ai/ja/contact/
【AI画像診断支援技術について】
高度化するモダリティとともに、医療画像診断の作業は膨大化している。AIを活用した独自のアルゴリズムによって、脳MRI、胸部X線などの医療画像情報を解析し、医師が効率的で、正確な診断が出来る環境の提供を目指す。
EIRLプロダクトサイト(医療従事者向け):https://eirl.ai/ja/
【エルピクセル株式会社について】
エルピクセル株式会社は、ライフサイエンス領域の画像解析に強みを持ち、医療・製薬・農業分野において画像解析技術、とりわけ人工知能技術を応用することで、高精度のソフトウエアを開発してきた。医師の診断を支援するAI画像診断支援技術「EIRL(エイル)」、創薬に特化した画像解析AI「IMACEL(イマセル)」を軸に事業を展開している。
LPIXEL公式ブログ(note):https://note.com/lpixel/
【本件に関するお問い合わせ】
エルピクセル株式会社 広報担当
TEL:03-6259-1713 Email:pr@lpixel.net
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