私の歩んできた道は、決して最短距離ではありませんでした。
私は、京都第一赤十字病院で診療放射線技師として勤務しながら修士・博士の学位を取得し、その後、教育・研究の立場へと進みました。
臨床の現場で得られる経験と、研究を通して求められる論理や再現性の間で考え続けてきたことが、現在の私の立ち位置を形づくっています。臨床の現場では、一枚の画像が診断や治療の方向性を左右する場面に何度も立ち会いました。
その重みを実感する中で、「なぜこの画像はこう見えるのか」「この数値は何を意味しているのか」という素朴な疑問が、次第に強い関心へと変わっていきました。研究を志した原点は、臨床から生まれた問いにありました。
働きながら学位取得を目指すなかで、臨床と研究の価値観の違いに戸惑うこともありました。しかし、私が研究に向かった動機は、臨床の感覚を言語化することそのものというよりも、日常診療で得られる画像やデータを、どこまで客観的に、定量的に評価できるのかという問いにありました。
MRIの信号や画像コントラストを、物理的な背景から理解し直し、臨床データを用いて数値として扱う。その過程で、経験や印象に依存しがちな評価を、再現性のある形で示すことの重要性を意識するようになったのです。
臨床で得られたデータを研究の対象として掘り下げ、そこで得た知見を再び臨床の理解に還元する──その積み重ねが、自分の研究姿勢を形づくってきたと感じています。
学位取得後、大学教員という立場に移りましたが、臨床から離れたという感覚はありません。むしろ、臨床・研究・教育を一本の線として捉えるようになりました。
学生と向き合う中で、自分自身が経験してきた「問い」「迷い」「試行錯誤」を、どのように言葉として共有できるかを常に考えています。
振り返れば、臨床の現場で問いを持ち続けたこと、研究の場でその問いを深めたこと、そして教育の場で次の世代と向き合っていることは、すべて同じ道の延長にあると思っています。
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