富士フイルム株式会社は、医療機関や研究機関における画像診断支援AI技術の開発を支援するサービス「SYNAPSE Creative Space」(シナプス クリエイティブ スペース)を開発した。
本サービスは、国立がん研究センターと共同で開発したAI技術開発の研究基盤システムを用いたもので、プログラミングなどの専門知識がなくても医師や研究者が自身で画像診断支援AI技術を開発することが可能※1なクラウドサービスである。
2022年度中にサービス開始を予定しており、先行して今月から順次、医療・研究機関での試行を開始する。
画像診断支援AI技術を開発する際には、一般的にAIに学習させるために加工(アノテーション)したデータを多数作成し、どのような方法でAIに学ばせるかの学習モデルを設計した上で、学習を実行するなどの工程を複数のツールを活用して行う。
現状、一般に普及しているアノテーションツールは医用画像に最適化されておらず、学習過程においても個別のツールを使いこなす必要があるなど、一連の開発プロセスを実行するには高度な工学的知識が必要であった。
また、アノテーション作業も、アノテーションの難易度に応じて、1件当たり数分~1時間程度の作業時間が発生し、これを数百~数千件のデータに対して行うため、AI技術開発の作業負担の一因となっていた。
今回、同社が開発した「SYNAPSE Creative Space」は、画像診断支援AI技術開発におけるプロジェクト管理、アノテーション、学習、AI技術の試行など、一連の開発プロセスをすべてクラウド上で行えるサービスである。ウェブ上でユーザ登録と利用プランの選択を行うだけで利用できる。
本サービスは、臨床現場の読影で使用されている富士フイルムのAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」※2と同様の画面デザインに設計されており、画像診断環境に近い操作感で、効率的かつ直感的に画像の閲覧やアノテーションを行うことができる。
これにより、多数の学習データ作成のために繰り返し行う必要があるアノテーションの作業時間を削減することができる。
また、国立がん研究センターと富士フイルムが医用画像向けに開発した複数の学習モデルを利用することができるため、医師や研究者が自身で学習モデルを一から設計する必要がなく、プログラミングなどの高度な工学的知識がなくても、AI 技術を開発することができる。
今後、本サービスの普及によって、希少疾患など多様な画像診断支援AI技術の開発促進が期待される。同社は、開発された画像診断支援AI技術の社会実装をサポートしていきます。
なお、「SYNAPSE Creative Space」は研究開発のサポートツールとしての用途に加え、AI技術開発の一端を経験し、医療従事者がAI技術へのリテラシーを向上させるための教育ツールとして提供することも視野に入れている。
今後、教育関連コンテンツの整備、および医療従事者の教育機関への導入に向けた提案を進めていくとしている。
同社は、医療現場を支援するAI技術の開発環境の整備を進めるとともに、最適なコンテンツを拡充することで、医療機関・研究機関の画像診断支援AI技術の開発支援に取り組んでいく。
※1 本サービスが提供する学習モデルを利用して開発する場合に限る。学習モデル自体を新たに設計する場合、プログラミングなどの知識が必要になる。
※2 SYNAPSE SAI viewerは以下の医療機器を含む製品の総称である。
・SYNAPSE SAI viewer用画像表示プログラム
販売名:画像診断ワークステーション用プログラム FS-V686型
認証番号:231ABBZX00028000
・SYNAPSE SAI viewer用画像処理プログラム
販売名:画像処理プログラム FS-AI683型
認証番号:231ABBZX00029000
▪問い合わせ
富士フイルム株式会社
メディカルシステム事業部 ITソリューション部
TEL 03-6452-6776
E-mail:ff-creative_space@fujifilm.com
https://www.fujifilm.com/jp/ja
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