アボットメディカルジャパン合同会社は、心房細動を中心とした不整脈に対するカテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション治療)で使用される3DマッピングシステムEnSite™ X EPシステム(以下EnSite X)を2022年2月14日より全国発売する。なお、本製品は2021年6月に製造販売承認を取得している。
心房細動の治療は、主に症状を抑えることを目的とした薬物治療と、根治できる可能性もあるアブレーション治療がある。
アブレーション治療は、胸を切開することなく、電極がついたカテーテルを太ももの付け根から挿入し、治療部位に高周波の電流を直接当て焼灼するため、患者の施術後の体への負担が比較的少ない治療法である。
アブレーション治療では、心臓の電気信号を把握し、不整脈の原因となる治療部位を正確に把握することが求められる。これまで、電気信号の流れる方向によっては、読み取ることができず、患部の正確な状態が把握できなかった。
しかし、EnSite XとAdvisor HDグリッドマッピングカテーテルSEの組み合わせにより、3点の電極を使用した三角形の集合を作り、そこに流れてくる全方位の電気信号を捉えることができる。
また、電気信号の速度や流れる方向について色や矢印で定量的に評価することで、医師の不整脈解析を支援する。
アブレーション治療は、心臓の治療部位をピンポイントで狙う治療であり、患者の動きや呼吸によって生じる位置データのズレが課題となっていた。
EnSite Xの新しいナビゲーションアルゴリズムが、ズレを補正し心腔内に挿入した電極カテーテルの位置を安定的に表示する。
これまでのインピーダンスを用いたマッピングでは、心腔内の抵抗値に依存し、歪みに対する補正による時間差が生じていた。
EnSite Xでは、磁気を活用することにより、正確な心臓のモデルをリアルタイムで表示することが可能となる。
これらの新しい機能により、医師は精密に心臓の構造を把握し、電気生理学的な情報をリアルタイムで取得することができ、患者および医療従事者への被ばくとなるX線透視時間を最小限に抑え、複雑な症例であっても安定的にアブレーション治療を行うことが可能になる。
新百合ヶ丘総合病院循環器内科部長の高橋良英医師は、次のように述べている。
「EnSite X EPシステムは精度の高い位置情報・電気情報を提供することにより、現在の不整脈医が求めるX線被ばくの低減と、解像度の高いマッピングの両立を実現する3Dマッピングシステムです。
Advisor HDグリッドマッピングカテーテルSEのユニークな電極配列より得られる電気信号情報を解析し、心臓内の電気現象をリアルタイムで可視化することで、複雑な症例でも適格な手技の判断に繋がることが期待されます。」
▪心房細動について(動画リンク)
AFib Resources | Abbott(afanswers.com)
心臓は、電気信号を発生させ、心臓全体の筋肉に伝わることで、規則的な収縮を繰り返し全身に血液を送り出している。不整脈は、この電気信号が正常に伝わらず、心臓のリズムが乱れた結果、心臓から送り出す血液の量が足りなくなる状態で、最悪の場合心不全などを引き起こし死に至る。
不整脈は、心臓の脈拍が遅くなる「徐脈性」と、早くなる「頻脈性」に分けられ、最も多い事例が、頻脈性不整脈の「心房細動」である。これは、心房が不規則な電気信号を発し、心房全体が痙攣を起こした状態になる。
心房細動が起こると、心臓の機能が低下し、心臓内で血のかたまりができやすくなる。これが脳に運ばれると、心原性脳塞栓症を引き起こす。
▪問い合わせ
アボットジャパン
https://www.abbott.co.jp/
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