藤田医科大学と株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)は、共同研究講座の成果である「採血呼出し時間予測AIシステム*1」(以下、本システム)を、2025年8月から藤田医科大学病院で本格的に開始する。本システムは、AIを活用して採血の呼出し時間を予測し、患者に通知することで、待ち時間の有効活用、採血待合室の混雑緩和、患者の心理的負担の軽減などを実現する。
*1 特許申請中
藤田医科大学と日立ハイテクは、2020年10月1日に共同研究講座「先端臨床検査技術開発講座」を開設し、AI・ロボットを病院臨床検査部へ導入する研究を行っている。この研究の一環として、体外診断における省力化および高度化に向けた先進技術の導入を推進している。
外来患者の採血における待ち時間の短縮は多くの医療施設に共通する課題である。厚生労働省の統計調査*2によると、診察の待ち時間が1時間以上になると「不満」を感じる患者の割合は5割を超えるという報告がある。採血についても、受付から実際の採血までの時間が長くなると患者満足度の低下につながると考えられる。この課題に対して、各医療施設では採血待ち時間短縮に向けて、さまざまな業務改善や工夫がされている。しかし、待ち時間の見通しが立たないことにより、「何もしていない時間は長く感じる」といった不満が残り、待ち時間の短縮だけでは患者満足度の向上に限界があるという現状がある。
*2 出典:厚生労働省「平成17年 受療行動調査の概要」
本システムは、患者が病院の採血室で受付した際に、AIが採血呼出し時間を予測して患者へ通知するシステムである。2023年9月に採血受付票に呼出し時間を印字する実証実験を開始し、「±4分以内での予測精度が94%」という高い精度を維持している。患者は呼出し時間がわかることで、待ち時間の過ごし方や場所を選ぶことができるので、滞在場所の分散が進み、待合室の混雑が緩和される。また、採血受付窓口担当者への、待ち時間に関する問い合わせがほぼ無くなり、受付業務の負担が軽減される。
藤田医科大学を運営する藤田学園では、医療従事者の負担軽減と業務の効率を図り、質の高い医療を持続的に提供することを目的に、病院内でのAI/ICTの導入を推進。これにより医療の質・患者サービスのさらなる向上に取り組んでいる。
日立ハイテクは、血液検査を中心とした体外診断システムなど、データとテクノロジーを通して、世界で毎年延べ10億人の健康な暮らしの提供に貢献している。今後も、医療現場の業務改善や患者サービス向上に取り組む医療スタッフに寄り添い、Lumadaを活用した課題解決、および環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現をめざす。
藤田学園と日立ハイテクは両者の強みを生かした研究を推進し、より安全・安心な医療の提供と医療現場における最先端のニーズに対応するソリューションを提供することで、人々が健康で豊かな生活を送り続けることができる未来に貢献していく。
藤田学園では、少子高齢化や医療財政のひっ迫といった医療課題の解決と、誰もがいきいきと暮らせる活動長寿社会の実現に向け、かねてより医療DXを強力に推進。
さらなる体制強化を図るため、2021年にはデジタル戦略の立案を行う「デジタル戦略部」を設置。以降、医療DXの実証を行う「スマートホスピタル推進室」、それらのシステム構築を担う「ヘルスデータアーキテクチャーセンター(HDAC)」を開設し、産官学連携のもと高度医療情報ネットワークの実用化に取り組んでいる。
日立ハイテクは、持続可能な地球環境、健康で安心・安全な暮らし、科学と産業の持続的発展に貢献するため、「知る力で、世界を、未来を変えていく」という企業ビジョンを掲げ、社会やお客さまに最先端の技術や製品・サービスを提供している。ヘルスケア分野における医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体分野における半導体製造・検査装置のほか、環境分野や材料の研究などで用いられる分析装置、解析装置を製造・販売している。また、電池、通信インフラ、鉄道検測、デジタルなどの産業・社会インフラ分野で高付加価値ソリューションを提供するなど、幅広い事業領域でグローバルに事業を展開している。私たちは、社会やお客さまの真の課題を正しく知り、解決策を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献していく。(2025年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は7,565億円)。
詳しくは、日立ハイテクのWebサイトを参照。
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