アキュレイ株式会社は、同社の高精度放射線治療装置サイバーナイフシステム※を用いた三叉神経痛治療が2022年10月1日より保険適用となったことを発表した。
三叉神経痛とは顔の感覚を脳に伝える神経(三叉神経)に、なんらかの原因で刺激が生じ、顔に痛みの出る病気である。
痛みは非常に強く、一瞬の走るような痛みが突発的に数秒間発生し、人間が感じる痛みの中でも最も痛いともいわれている。発症率は10万人につき4~5人といわれており、高齢者や女性が多く報告されている。
治療法は薬物療法が第一選択となり、8割以上の患者で一時的には痛みが消失あるいは相当改善されるが、中には投与初期に著効を示しても、徐々に効果が減弱する患者もみられ、その場合は外科的手術、または高齢等により手術ができない患者には、定位放射線治療が検討される。
同社の高精度放射線治療装置サイバーナイフシステムは、サブミリメートルの照射精度で病巣に放射線量を集中させる定位放射線治療を得意としている。
放射線治療で必要なスピード、高精度の照射技術、リアルタイム位置補正・動体追尾機能を兼ね備えており、頭蓋内および体幹部の悪性・良性腫瘍、動静脈奇形を治療できるロボット型放射線治療装置である。
当初は頭蓋内・頭蓋底および頭頸部腫瘍と、脳・脊髄動静脈奇形の治療装置として開発が進められ、その後、肺・肝・腎・膵・前立腺や脊椎転移・オリゴ転移(少数転移)など、体幹のさまざまな腫瘍への治療適応を広げてきた。
昨年10月には、サイバーナイフシステムに「薬物療法による疼痛管理が困難な三叉神経痛治療」が適応追加となり、今回、10月1日より保険診療下での治療が可能となった。保険適用となったことで、より多くの患者体に負担の少ない放射線治療を提供できる機会が増えることが期待される。
三叉神経痛は、血管や腫瘍などによって三叉神経が圧迫されて、その支配領域である顔面に疼痛やしびれが生じる病態です。その強烈な痛さのために自殺する人さえいるといわれているようです。
治療は薬物療法や手術療法が検討されますが、これらにより対応困難な場合に低侵襲治療である定位放射線治療が行われ、高線量投与により神経機能を低下させることによって疼痛を緩和することができます。
発症率は10万人あたり5人程度と希少疾患ではありますが、日本全体では5,000人程度が苦しんでいることになります。これまでガンマナイフのみで治療されてきたところ、今回、サイバーナイフによる保険診療の対象に三叉神経痛が追加されたことは、治療機会の増加やアクセス性の良さなど、患者さんにとって大きな福音になると思われます。
日本放射線腫瘍学会としてもようやく適用追加が実現され、ほっとしております。ただし、三叉神経は脳幹や血管に近接するため、繊細な治療計画が必要であり、サイバーナイフ治療に精通した放射線治療医や医学物理士・診療放射線技師による実施が望まれます。
実施に当たっては、日本放射線腫瘍学会が認定している『三叉神経痛治療におけるサイバーナイフの適正使用指針』およびサイバーナイフ研究会による『サイバーナイフ臨床指針』を精読することを必須として、安全性に十分留意していただきたいと考えます。
日本においてサイバーナイフ治療は1990年代の導入開始から20 数年が経ち、現在では導入施設も40を超えました。この間、呼吸性移動に対する追尾機能や可変コリメーターの追加など、システムの性能向上にともない、より正確かつ短時間で治療することが可能となり、保険適用となる部位・症例も増えました。
昨年10月には三叉神経痛の治療が承認され、QOLが著しく阻害される日常生活を余儀なくされている難治性の三叉神経痛患者さんに、サイバーナイフシステムによる新たな治療選択肢をご提供できることを大変喜ばしく思っておりました。
この度、保険適用が認められたことで、三叉神経痛に悩まれている患者さんに保険診療による治療機会が提供され、耐え難い苦痛から救われる方がもっと増えることを期待しています。
【承認上の適応疾患】
(1)頭頸部(頭蓋内を含む)、脳動静脈奇形、体幹部および脊髄動静脈奇形等の放射線治療が必要な病変
(2)薬物療法による疼痛管理が困難な三叉神経痛
【保険適用開始日】2022年10月1日
【診療報酬点数】63,000点(定位放射線治療)
サイバーナイフシステムの詳細:https://www.accuray.co.jp/product/1
※サイバーナイフ ラジオサージェリーシステム(承認番号:22200BZX00721000)
サイバーナイフM6シリーズ(承認番号:22600BZX00126000)
▪問い合わせ
アキュレイ株式会社
https://www.accuray.co.jp/
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