2014年1月号
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うになる(図7)。術後、酸素飽和度は90〜100%近くになると、チアノ−ゼはなくなり、手術達成となる。心臓カテーテル検査からGlenn手術動脈管結紮術と肺動脈絞扼術が終了してから6ヵ月後、最初の心臓カテーテルが行われた。当院の小児心臓カテーテル検査はラボナールを注腸し入眠下で行われる。麻酔の投与量を可能な限り減らすために可能な限り速やかに検査を行っている。静脈■刺後、angiographyの前に各血管部位における採血が行われる。採血では短絡路の有無を確認やその程度を知ることができる。今回のangiographyでは、上大静脈造影にて上大静脈から右房へ流れ込むのを確認し(図8a)、左室造影では肺動脈を確認した。これらの画像の解析・計測結果と心エコー検査や採血結果などを参考にしながら半年後、Glenn手術が行われた。IVRからFontan手術Glenn手術終了から14ヵ月後、フォローアップのカテーテル検査を行った。上大静脈造影(図8b)扼(バンディング)術は、姑息的に肺動脈を絞扼することで、肺動脈血流量をコントロールすることができ、心不全の改善が期待できる(図5,D)。これら手術の終了時、心臓の血流は図5に示す状態となる。2)第二段階:Glenn手術Glenn手術は、上大静脈と肺動脈をつなぐ手術であり(図6,E)、フォンタン手術の前の姑息術として行われる。また、上大静脈から流れる血液は、両肺動脈に流れるように接続することが一般的である。またこの際、前回肺動脈絞扼術を施行した血管を切断し、心室と肺動脈の血流を遮断する(図6,F)。このようにして接続された血流(図6)は、上大静脈からの血流がすべて肺動脈へ流れ込むことになる。しかしながらグレン手術を行うには、肺血管抵抗が低い必要があり、通常は生後3ヵ月以降におこなわれることになる。3)最終段階:Fontan手術フォンタン手術とは、第一段階、第二段階を経て下大静脈と肺動脈を人工血管でつなぐ手術である(図7,G)。右心房に流れ込む静脈血がなくなり、下半身から流れる静脈血はすべて肺動脈に流れ、肺静脈から還ってきた動脈血は大動脈に流れるよ図5 動脈管結紮術と肺動脈絞扼術後の血行動態最新! 小児放射線領域のテクニック図6 Glenn手術後の血行動態Vol.46 No.1認定・専門技師が語る

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