2014年1月号
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また、小児診療と診療放射線技師の関係も同じことがいえる。小児診療において画像情報は必要不可欠であり、小児科医が自信をもって診断を下すにはなくてはならないものである。そして、診療放射線技師が小児診療に提供している画像情報は、単純X線写真をはじめ、エコー検査、CT、MRI、そしてIVRなど数多くあり、関与する機会は多い。今回、ある1名の患児を対象に、疾患の発見から手術達成までを追い、私たち診療放射線技師の提供する画像情報がどのような場面で小児診療に携わり、如何に用いられているかを時系列で順を追って解説する。出産まで母親は前置胎盤であり、前医の胎児エコー検査にて単心室と診断され当院産科にて入院管理されていた。突然、1,000mL以上の大量出血とともに、胎児の心音が低下したため、緊急帝王切開となった。在胎35週4日、2,275gで出生。胎盤早期剥離であった。出生時の心拍数は30〜40/分。チアノーゼあり。呼吸微弱ですぐに気管内挿管がなされた。出生後の画像情報1)出生後の単純X線写真を示す(図1a)CTR(心胸比:Cardio Thoracic Ratio)は60%(小児正常55%以下)、両肺野の透過性は不良であり、RDS(呼吸窮迫症候群:Respiratory Distress Syndrome)と思われる。胸部単純X線写真によるRDSの重症度の評価法としてBomsel分類1)があり、肺野の所見と気管支透亮像の有無によりⅠ〜Ⅳ度に分類される。Ⅰ度は、わずかにRG pattern(網状顆粒状陰影:reticulogranular pattern)が認められる。肺の透亮性は正常。Air bronchogram(陰性に描出される気管支気像)は認められない。Ⅱ度は、肺全体に明らかなRG patternを示す。肺の透亮性は軽度に減少しAir bronchogramが心陰影を越えてわずかに認められる。Ⅲ度は、肺全体に強度のRG patternを認める。映像情報メディカル 2014年1月和歌山県立医科大学附属病院 中央放射線部*1/同 小児科*2出生からフォンタン手術達成までの放射線検査・IVRの実際細川聖記*1/准教授 鈴木啓之*2/講師 武内 崇*2はじめに誰しも幼いころ、親に連れられて小児科を受診したことはあるのではないだろうか? また逆に、親としてわが子を小児科へ連れて行ったこともあるのではないだろうか? このように小児診療は、私たち一般市民が安心して生活していく上でなくてはならないものであり、最も密接な診療科であるといえる。企画・監修:加藤京一(昭和大学大学院 保健医療学研究科 診療放射線領域 教授)認定・専門技師が語る最新! 小児放射線領域テクニック の

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