2014年1月号
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映像情報メディカル 2014年1月シート」を発表した。特に救急外来における非外傷死の死亡時CTを診断するときに用いると便利である。この読影チェックシートは、オートプシー・イメージング学会のホームページからPDFファイルをダウンロードできる(http://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/)。まず、部位別に列挙してある死亡時CTで注目すべき所見の有無をチェックし、それぞれの所見を、死因、死後変化、心肺蘇生術後の変化に分類する。そのための参考として、これまで発表されてきた項目を網掛けで示している。このチェックシートを用いて、臨床的に非外傷死と診断された死亡時CT 49例を、経験の異なる放射線科医4名(専門医2名、認定医・後期研修医各1名)が読影した。全例で剖検が行われていないためゴールドスタンダードはないが、4名が独立して診断したところ、ほとんどの症例で所見の有無、判断は良好に一致した。つまり、基本的なCT読影能力を有する医師であれば、所見の拾い上げは標準化できると考えられた。さらに、5割〜8割近くの症例で、死因となる所見を拾っている。これは、先ほど3割で死因がわかるとする結果と比較して、高い値になっている。ランセット誌の論文では、放射線科医が「死因となりうる明らかな所見があり、病理解剖は不要だ」とした例が34%であった。一方、死亡時CTで診断された死因と剖検結果が異なった例は32%しかなかった。つまり、7割の症例は死亡時CTで診断された死因と剖検結果が一致していたという結果になる。したがって、直接所見がなくても、間接所見と臨床情報を考慮すれば、7割程度では死因が推定できる可能性があるのではないか、と考えている。Ai学会ではチェックシートの改良版を作成中である。Aiのエビデンスを確立するために、Ai読影のためのガイドラインを作成しようという試みが現在行われている。これは札幌医科大の兵藤秀樹先生が研究代表者の「医療機関外死亡における死亡画像診断の実施に関する研究」で、座長の今井先生、池田先生と共同で、検討を重ねている。この研究では死後画像診断のガイドラインの作成と、読影のためのトレーニングシステムを目標としている。すでに、いくつかの出血性疾患についてのガイドラインがまとめられている。以上をまとめると、死亡時CTの診断のために死後変化、心肺蘇生術後変化、突然死の原因などについての知識が必要であり、チェックシートを使えば、死亡時CT診断の標準化が可能であると考えている。今井)一般病院、新潟市民病院で取り組んだ死亡時画像診断であり、本当にすぐに役に立つ内容ではなかったかと思う。「外傷死はCTで8割は大丈夫」で、まず診断ができる。非外傷死になると少しむずかしいが、将来MRIが加わったときに非外傷死の方の比率が増えるといいと思うが、その辺はいかがか。高橋)私自身経験はないが、論文では心筋■塞がよくわかるとある。塩谷先生も論文を書かれている。心臓死までわかるようになると、本当に7割程度の死因が画像だけでわかるようになってくると考えている。今井)論文の中で「Aiが不要は34%だけど、CTと解剖の異なるものが32%もある」は、やはりCTだけでなくて解剖も実施されると、さらにCTの知識がより正確になるだろうということを示唆している。

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