図1 非外傷死について死亡時CTを剖検と比較した研究図2 0才女児。乳幼児突然死症候群図3 60才代女性。交通外傷Vol.46 No.1【シンポジウム】死後画像診断(Ai)の現状と将来特別企画て考える必要がある。心肺蘇生術で生じる骨折は、前胸部と側胸部の不全骨折を呈する場合が多い。図3に提示した交通外傷の症例では、背側に骨折が認められ、剖検で外傷によるものであるということが確認された。固い台の上で正しい手技で胸骨圧迫を行えば、背中側には骨折は生じないとされる。まれに柔らかいベッドの上などで胸骨圧迫を行った場合に背側に骨折を生じた症例の経験があるが、前胸部や側胸部以外に骨折があった場合には、心肺蘇生術以外の原因を考えることが必要である。注意すべき突然死の原因として頸椎の損傷がある。庭木を剪定中、脚立の下に倒れて発見された80代男性は、死亡時CTにて、第2頸椎と第3頸椎が少しずれていたが、水平断像では指摘することが難しい。ところが、矢状断の再構成画像を作成すると明らかに第2頸椎の歯状突起が骨折していることがわかる。頸椎の損傷は矢状断で観察しないと、わかりにくいことがあり、再構成画像を作って判断することも重要である。以上、死亡時CTの診断のポイントのいくつかを述べたが、臨床で接する救急領域の死亡時CT診断として、外傷死の8割、非外傷死でも3割程度で明らかな死因となりうる所見があるとされる。この、わかるものを確実に診断する工夫として、私たちは死亡時CTを診断する上での「チェック
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