2014年1月号
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Vol.46 No.1【シンポジウム】死後画像診断(Ai)の現状と将来特別企画粟井)広島県でも最近はAiが話題になることが多くなっており、県等から大学病院で法医解剖的なCTをやってもらえるかと問い合わせがある。正直なところ、われわれが亡くなった方の画像所見を書くにはマンパワーが足りない。それなりの教育とか体制が必要であるだろうが、センターの設置、たとえば広島県に中心的なセンターを1つ置いて、そこに専門家を1人ないし数人配置するというような方向で考えればいいのか。あるいは市民病院や県立病院に勤めている放射線科医など、すべての放射線科医がAiに関わる可能性があるとして皆が勉強していく必要があるのか。また、放射線科医の書いた診断報告書が裁判の証拠になった場合、放射線科医の責任が問われるようなことが起こり得るのか。この2点について伺いたい。塩谷)非常に難しいが、後の質問、放射線科に責任がかかってくるのかということについては、以前、弁護士の方にお尋ねしたことがある。本人が亡くなっているので、間違った報告書を書いたからといって業務上過失致死になることはないとのこと。安心して「自分はこう考えました」と書いていいと言われた。粟井)診断報告書を書いた放射線科医が裁判の現場に呼び出されていろいろ証言しなければならないことにはならないのか。塩谷)Ai情報センターの山本先生が何回も鑑定人ということで裁判に立たれている。山本)基本的に、依頼された医師は、内容について弁護士なり、原告被告のどちらかから、どういった意見を述べたか意見書を書かされることはあると思うが、それで出廷するかというのはまた別問題である。「私は嫌だ」といえば、まず出廷することにはならないだろう。もしもそういう症例にあたった場合には、「当該所見については専門家の意見を」と、当方、Ai情報センターに投げていただいて構わない。塩谷)今後死亡時の画像診断を専門としない医師でもある程度の共通知識は必要だと思うが、「これはちょっと手に負えないな」「責任がかかってくると嫌だ」といったものは、こういった専門のセンターに投げていただいて結構だと思う。今井)死亡時画像診断ではある程度の集約化が行われるべきだということがいわれている。ただ、大学は法医学と画像診断両方の大きな能力をもっているので、人材育成も含めてぜひ協力していただきたい。会場質問者: 粟井和夫 (広島大学大学院 放射線診断学)

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