2014年1月号
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表1 解剖の種類と法律映像情報メディカル 2014年1月けではなく、全身の画像を新たな証拠として撮っておく必要がある。死亡発見場所などはさまざまである。条件によって遺体はどのように変わるかという1例として、体内にガスが認められる3つのまったく別の事例における胸部の画像を示す。図1aは空気塞栓で、ダイビング中に急な浮上をして亡くなった事例である。図1bは腐敗ではなく皮下気腫で、消化管■孔で全身に気腫が広がっている。図1cは水中死体、溺死体であるが体内のあらゆる部分にガスが広がっている。画像は類似しているが、遺体が置かれた環境についても詳細に聴取、調査しないと、読影はむずかしい。40代の男性が、自分を拳銃で撃って亡くなったと思われる事例。近くに拳銃が落ちており、併せてCTを撮ってみた。鑑定内容は、自殺として本当に矛盾はないか、拳銃の種類、射撃方法、この銃の弾と一致するかということである。これをワークステーションのfusion機能を用い重ね合わせ、銃口と射入口を一直線上になるように重ね合わせた。おそらくこういう角度で撃った、もしくは撃たれただろうとわかった。この画像からは、自殺するのに典型的な角度であり、自殺として矛盾はないだろうと判断し、あとは警察の捜査になった(図2)。画像診断は個人識別にも使える。身元不明の高度損傷死体が、あるアパートの火災現場で発見された。ここの70代住人は食道ステント留置術を受けていた。法医学的視点としては、この画像を読む際は年齢、性別、既往歴と一致するかどうか。殺されて死体遺棄されたのではないか、生前の損傷はないか等を見ていく。この方は食道ステントの画像があり、肺に転移巣、肝臓にも転移巣、あとは既往歴にあった腎摘術も画像で証明された。法律系統解剖病理解剖死体解剖保存法承諾解剖行政解剖新法解剖死因・身元(調査法解剖)調査法司法解剖刑事訴訟法対象献体診療中・診療後の患者遺体異状死体のうち非犯罪死体犯罪性不明死体犯罪死体執刀者医学生解剖学者臨床医病理医(臨床医立会)法医法医(監察医)法医法医(鑑定人)(死因究明・成傷器推定・死後経過時間推定・死因の種類判断・個人識別など)解剖の目的医学教育外科手技確認臨床診断の確認疾患の進行・治療の効果の判定死因究明(監察医制度地域以外)死因究明(監察医制度地域内)死因究明(犯罪死の見逃し防止)鑑定

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