2014年1月号
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図2 当院における関節リウマチ症例の両手MRI撮像肢位4映像情報メディカル 2014年1月するために、図に示すような肢位で、多チャンネルコイルを使用した3T MRIによる撮像を行っている(図2)。RAMRIS評価法では撮像法としてT1強調像、ガドリニウム造影T1強調像、脂肪抑制併用T2強調像(もしくはSTIR)を推奨しており、少なくとも冠状断像と横断像の2方向を撮像することを求めている。骨髄浮腫の検出には脂肪抑制法が必須であり、炎症性滑膜の描出には脂肪抑制併用造影T1強調像が適しているため、関節リウマチ病変の評価には脂肪抑制法が併用される。しかし、従来の周波数選択型脂肪抑制法(CHESS法)では空気との境界部分で均一な脂肪抑制が困難なことがあり、手足は複雑な形状であるため組織と空気の境界で磁化率の違いが大きく、磁場不均一が生じやすい。不十分な脂肪抑制は病変の有無や性状を判定するうえでの大きな障害となり、評価のばらつきの原因となる。われわれの施設では新しい脂肪抑制法であるIterative decomposition of wa-ter and fat with echo asymmetry and least-squares estimation (IDEAL)を使用している7)。IDEALは3-point-Dixon法を応用した脂肪抑制法の1つで、フィールドマップ技術により磁場の不2) McQueen FM et al: Magnetic resonance imaging of the wrist in early rheumatoid arthritis reveals a high prevalence of erosions at 4 months after symp-tom onset. Ann Rheum Dis 57(6): 350-356, 19983) Aoki T et al: Diagnosis of early-stage rheumatoid ar-均一性が補正され、確実な脂肪抑制効果を得ることができる(図3)。評価のばらつきを少なくするには、可能な限りアーチファクトが少ない画像を得ることも重要である。MRIは関節リウマチで生じる滑膜炎、骨髄浮腫、骨びらんを鋭敏に捉えることができるモダリティである。MRIの弱点を克服する新技術が身近になることで、関節リウマチ診療における役割はさらに大きくなると思われる。参考文献1) Benton N et al: MRI of the wrist in early rheuma-toid arthritis can be used to predict functional out-come at 6 years. Ann Rheum Dis 63(5): 555-561, 2004まとめ

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