図1 関節リウマチ症例の手関節MRI冠状断像A:T2強調像…手関節にびまん性に肥厚した滑膜(矢頭)と骨びらんを示唆する骨皮質欠損およびその近傍の限局性異常信号域(矢印)を認める。B:脂肪抑制T2強調像…骨髄内には骨髄浮腫を示す境界不明瞭な高信号域が認められる(矢印)。C:脂肪抑制造影T1強調像…肥厚滑膜(矢頭)および骨びらん(矢印)は造影MRIにて濃染を示す。特集関節疾患の画像診断:変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)考えられた。MRIによる重症度および治療効果の判定にはスコアによる評価法、造影ダイナミックMRIの数値指標による評価法などがある。スコアによる評価法には再現性の高い汎用的評価法が求められる。現在、ヨーロッパリウマチ学会の多施設共同プロジェクトであるOutcome Measures for Arthritis Clinical Trials (OMERACT) が考案したRheu-matoid Arthritis Magnetic Resonance Imaging Score (RAMRIS) スコア4)がグローバルスタンダードとして知られているが、煩雑で評価に時間がかかり、一般の臨床評価に適した方法とは言い難い。また、MRIの機種や撮像法による描出能の違いや評価者の技量による評価のばらつきも少なくない。Birdらは3名のリウマチ医間でのRAMRISによる骨びらん評価のばらつきを検討し、評価者間の一致率を学習前と学習後の2回計算して、学習前は病変評価のばらつきが大きいが、学習後にばらつきが改善して良好な一致率を示すことを報告した5)。誰もが同様に正しく評価するためには、安定したMRI画像を得る必要があるとともに、MRI読影の標準的な評価法を習得するための学習環境の整備も重要である。定量的評価法としては、造影ダイナミックMRIによる滑膜の造影効果の立ち上がりの速さ(E-rate)が関節リウマチ活動性との強い相関を示すことが知れられている6)。しかし、CRPなど臨床的データを凌駕するほどの役割は見いだせず、重症度および治療効果判定におけるMRIの役割については今後の課題も多い。関節リウマチ患者の撮像では痛みや可動域制限により一定の肢位を長時間保つことが難しい場合も多く、被験者の負担軽減や動きのアーチファクト防止を考慮した工夫が必要になる。また、関節リウマチは手の小関節に発症し、対称性に病変が認められることが多いため、両手を1度に撮像する必要がある。われわれの施設では、両側の手関節から指節関節を含めた両手全体を安定して撮影Vol.46 No.14撮像法の工夫
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