図3A図3B図3 関節リウマチ患者における典型的な■■滑膜炎所見尺側手根伸筋■周囲に低エコーの不整な滑膜肥厚を認め、同部に著明な血流シグナルを認める。A:縦断像 B:横断像(左側:グレースケール/右側:パワードプラ)特集関節疾患の画像診断:変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)RAの診断において、第一に滑膜炎の存在を確認することが重要であり、2010年ACR/EULAR RA分類基準6) においても1ヵ所以上の臨床的滑膜炎(腫脹関節)の存在が必須とされる。超音波は滑膜炎の評価に特に優れた検査であり、まず施行すべき検査のひとつである。RAにみられる滑膜炎(関節・■■)の特徴は前項に示したように滑膜の増生と同部の血管新生を反映した血流シグナルである。この超音波による滑膜炎所見を2010年ACR/EULAR RA分類基準6)に組み合わせることでRA診断精度が向上することが示されている7、8)。日常診療において頻度が多い鑑別疾患として変形性関節症があるが、診察による腫脹関節が炎症性病変なのか変性病変なのか迷う場合がある。その場合にも超音波は有用であり比較的容易に区別することができる(図4)。ただし、滑膜炎はRAに特異的な所見ではないため、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群、結晶誘発性関節炎(痛風、偽痛風)など炎症性疾患では、問診、診察、血液検査、X線などによる通常の鑑別を行ったうえで超音波を補足的に用いるべきである。また、骨びらんはRAの診断に重要な所見であるが、超音波は前述のようにX線より早期に骨びらんを検出することができると報告されている4)。したがって、関節炎の鑑別診断では、超音波におけるRAの陽性所見(RAらしさ=血流シグナルの強い滑膜炎や骨びらんなど)・ 陰性所見(RAらしくなさ=骨棘や結晶沈着など)を集めることで診断精度を高めることが重要である。疾患活動性の評価には、特に活動性炎症を示すPDシグナルが重要である。関節超音波によるスコアリングの試みがいくつかの研究グループから報告されているが9、10)、PD法を用いたスコアリングは疾患活動性とよく相関する。治療経過において疾患活動性の改善とともに超音波による滑膜Vol.46 No.13診断における有用性疾患活動性評価および治療評価における有用性
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