4映像情報メディカル 2014年1月方向性である。2012年にLaslettらは、59例の骨髄浮腫のある膝関節OAに選択的にゾレドロン酸を用いることで、骨髄浮腫の縮小と症状の改善が得られたと報告しており13)、患者の軟骨下骨の変化を適切に評価し、健常化することが、今後のOAの新しい評価および治療法の1つになる可能性がある。OAの関節辺縁部には骨棘と呼ばれる骨の過形成が認められる(図1)。骨棘形成の程度は症例によってさまざまであり、さらに同じOAでも病態が多様であることを示している。さらにこれらの骨性反応は、OAの自然経過や治療反応などにも関与しているといわれている。股関節OAは、骨棘形成の程度や骨頭のサイズをもとに、過形成型(Hypertrophic Type)、正常型(Normotrophic Type)、萎縮型(Arophic Type)に分類されているが、過形成型は、臨床症状が比較的良好で手術に至る割合が少なく、また骨切り術や人工関節をした場合も成績が良好と言われている14)。股関節OAの骨切り術の1つである大■骨外反骨切り術は、骨頭内側の骨棘(Capital Drop)が形成されている症例が良い適応とされている。一方、萎縮型は、進行が速く、骨切り術の効果も少なく人工関節のルースニングが多いと報告されている15、16)。骨棘の画像評価は、単純X線でも十分可能だが、手術の際には切除する必要があるため、CTを用いて3次元的に把握することが望ましい。股関節OAに形成される骨棘は、その部位によって、臼蓋側に形成される Roof Osteophyte、Tent Os-teophyte(Double Floor)、骨頭側に形成されるSuperior Cervical Osteophyte、Capital Drop などに分類されている。膝関節OAの骨棘は、関節縁や顆間隆起などに形成されるが、内側型の膝OAであっても外側関節の関節縁に骨棘が形成されることがある。日本における股関節OAの7〜8割は発育性股関節形成不全(Developmental Dysplasia of the Hip:DDH)および臼蓋形成不全(DDHの疾患概念に含まれる)と呼ばれる、骨盤の骨形態異常に起因する二次性OAである(図1)。臼蓋形成不全とそれに伴う股関節の亜脱臼によって、関節の荷重面積が減少し、加えて関節の不安定性が生じることで、軟骨が損傷されOAを発症する。よって股関節OAを評価する際には、その原因となっている骨形態異常を適切に評価する必要がある。臼蓋形成不全および股関節亜脱臼は、日常臨床において主に単純X線正面像で評価される。臼蓋形成不全の程度は、関節の傾斜を表すSharp角やAcetabular Roof Obliquity (ARO)で評価されることが多い。また、股関節亜脱臼とそれに伴う関節被覆の減少は、臼蓋縁と骨頭の位置関係を表すCenter Edge角(CE角)および Acetabular Head Index(AHI)などで評価するのが一般的である。これらは2次元の評価であるが、本来、関節の被覆は3次元的に、厳密にいえば動的にも評価されるべきである。単純X線 False Profile Viewは前方被覆の1つの尺度となるが、基本的には骨盤斜位像であり、前方の被覆を正確に評価できるものではない。CTは股関節を3次元的に評価することできるが、臥位の状態の股関節しか把握できない。臥位と立位では骨盤の傾斜が異なり、それに従って関節の被覆の程度も変化する。骨盤は一般的に立位で後傾、脚長差があれば短い方に傾き、さらに筋力低下があれば動的にも被覆の程度が変化する。Femoroacetabular Impingement (FAI)は、大■骨頭と臼蓋の辺縁部が、同部に生じた骨変形のためにインピンジし、股関節痛を生じる疾患である。疾患概念自体は古くより存在し、股関節唇損関節辺縁部の骨棘形成臼蓋形成不全(DDH)と股関節OAFemoroacetabular Impingement (FAI)と股関節OA
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