図1 股関節OAの単純X線正面像右股関節は末期OAであり、軟骨の摩耗・消失と、軟骨下骨の骨硬化・骨嚢胞形成(矢印)、関節辺縁に骨棘形成(矢印)を認める。左股関節は臼蓋形成不全を認め、関節被覆の減少が見られる。Vol.46 No.1特集関節疾患の画像診断:変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)trusion theory)で、軟骨損傷により軟骨と軟骨下骨の間のバリアが破綻し、関節液が軟骨下骨の骨髄内に侵入し、嚢胞を形成するとするものである。これらの骨微細構造の変化は、過剰な力学負荷の結果として生じたと考えられる一方、骨代謝の異常とも密接な関係があると言われている。2012年に筆者らは、Synchrotron radiation mi-cro CTを用いてOAの軟骨下骨微細構造と骨代謝回転の関連を調査し、骨嚢胞周囲における骨代謝回転の亢進を確認し、軟骨下骨における骨代謝の活性化に骨嚢胞が大きな役割を果たしていると報告した5)。よって、OA患者の軟骨下骨の微細構造の変化を定量的に画像解析することは、病態を評価する上で重要と考えられる。3)MDCT、3TMRIによる軟骨下骨の骨微細構造解析軟骨下骨は、幅が数100ミクロンの骨梁から構成されている。その構造を定量的に評価するには、従来は、組織学的な手法や実験用CTであるマイクロCTを用いて、摘出骨を■■■■■■■で解析するしかなかった。しかし近年、臨床用CTやMRIの進歩に伴い、生体の骨梁構造を■■■■■■■で解析する手法が模索されている。臨床用CTは1970年代に実用化され、1990代にヘリカルCT、2000年代に多列検出器CT(multi detector-row CT:MDCT)へと移行した。MDCTは多列の検出器をもつCTのことで、短時間で薄いスライス幅の撮像が可能となった結果、高解像度の3次元画像が得られるようになった。2011年に筆者らは、股関節OA患者の軟骨下骨梁についてMDCTを用いて解析し、OAに伴う骨梁構造の変化を定量的に評価した(図2)6)。2×2cmの関節面における関節裂■の体積を計測し、その直下1cm幅の軟骨下骨の骨梁構造を解析したところ、関節裂■の減少とともに、軟骨下骨の
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