2014年1月号
19/92

図1 3D FSE-Cube法を用いた膝関節3D isotropic MRI像(0.7×0.7×0.7mm)a:矢状断像(オリジナル)b:冠状断像(再構成)c:横断像(再構成)Vol.46 No.1特集関節疾患の画像診断:変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)る。一方3T MRIでは1.5T MRIと比較し、緩和時間、磁化率効果、化学シフト効果などが異なるため、撮像条件の設定には注意が必要である。また静磁場強度の上昇による比吸収率(specific ab-sorption rate: SAR)の上昇や磁場不均一性の増加など解決すべき問題も多く存在する。3D MRI撮像により関節軟骨全体をボリューム撮像し、多断面再構成(multi planar reconstruc-tion: MPR)を用いてワークステーション上で、任意の断面で評価する方法が近年臨床でも広く応用されつつある。関節軟骨を対象とした3D MRI撮像では、さまざまなパルスシークエンスが利用されてきたが、その多くは異方性ボクセル(aniso-tropic voxel)での撮像法であり、オリジナルの撮像断面からの再構成像は、画像の劣化により診断に役に立たない場合が多かった。これを解決する方法として、等方性ボクセル(isotropic voxel)での撮像法が関節軟骨の評価でも行われるようになり、この方法では1度オリジナルの画像を撮像すれば、それから矢状断、冠状断、横断、斜冠状断など任意の断面に画像の劣化なく再構成できる(図1)。このことは、特に病変が比較的小さく、また薄く複雑な立体構造をとる関節軟骨の形態評価ではきわめて有用となる。また一般的な2D撮像で経時的な評価を行う場合、撮像時期の異なる撮像において、対象とする部位が必ずしも同じスライス内に含まれておらず、比較評価が困難となることがある。一方、3D isotropic voxel撮像では関節軟骨全体を3D収集することで、同一部位を同一断面で常に評価することが可能となるため、経時的評価に有用である。現在広く使われているisotropic voxel撮像法は、3D グラディエントエコー(gradient-echo: GRE)法を用いた撮像法であるが、最近3D FSE法を用いた撮像法として、3D Cube法などが関節軟骨の評価に利用されている。3D Cube法はFSE法を用いてisotropic voxelでのT2強調像、またはプロトン密度強調像の撮像が可能な方法である。3D Cube法を用いた評価では、従来の3D撮像法と比較し、高い関節軟骨と関節液のコントラスト雑音比が得られ3)、また従来の2D FSE法を用いたプロトン密度強調像と比較し、関節軟骨の評価においてほぼ同等の高い感度、特異度、正確度を有していることから4)、関節軟骨の形態評価に有用とされる。関節軟骨の形態的MRI評価法

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る