2014年1月号
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映像情報メディカル 2014年1月化している(図2b)。化学療法前超音波像では不整形の低エコー域として描出され、カラードップラー像では著明な血流を認める。造影超音波像では濃染像は見られなかった(図2c)。化学療法後超音波像のBモード像では縮小した低エコー域として描出され(図2d)。手術後の病理像では瘢痕様所見のみ認め、血流を示唆する所見は認められなかった。本症例の場合、Bモード像では瘢痕様所見としても矛盾しない低エコー域を認めており、造影MRI所見、造影超音波所見のいずれも血流を示唆する造影効果が見られなかった。このような場合は組織学的にも血流を示唆する所見は乏しく、瘢痕様所見のみ見られ、画像所見と一致が見られた。まとめ 造影超音波は血流をリアルタイムに観察することができる点である。ただし、原則的には限られた観察範囲内での評価になるため造影MRIと相補的に施行参考文献1) Miyamoto Y et al: Phase Ⅱ clinical study of DD-723 (perflubutane) : Dose-response study in patients with breast tumors. J Med. Ultrasonics. 39: 79-86, 2012されることが望ましいと個人的には考える。相補的な利用方法としては今回提示した症例のように術前化学療法著効例で最終的な切除範囲を正確に評価する場合に造影MRIと造影超音波を組み合わせることでより正確な評価が可能となる。つまり、造影MRIで血流が低下し、造影超音波でも血流を認めない場合は同部位への血流はきわめて低下していると考えられる。今後は、サブタイプ別の縮小パターンや造影MRIの縮小パターンとの乖離や一致などを症例の蓄積により病理学的背景をふまえて解明しより有効な効果判定ができるよう期待したい。

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