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| 2009年8月号 |
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[ピックアップ記事]
特集1:PACS 2009
本誌におけるPACSの特集も3年目となる。この間、世界同時不況が勃発し、わが国の多くの病院の経営環境も悪化している。
医療においては、特定検診と特定保健指導の開始、高齢者保険制度の開始、医師不足の問題、地域医療再生、新型インフルエンザ、臓器移植法改正など、枚挙に暇がないほどめまぐるしく周辺環境が変化している。放射線部門においても、2008年4月の診療報酬改訂における画像診断管理加算Uの新設、デジタル加算の廃止とフィルムレス加算の新設など、その変化は急激かつ多大なインパクトをもつ状況となっている。
政府のIT戦略本部が2009年6月30日に公表した 「i-Japan 戦略2015」によれば、 「電子政府・電子自治体」 「教育・人財」 と並んで 「医療・健康」 を3大重点分野と位置づけており、少子高齢化に伴う医師不足の解消を目的とした遠隔医療の拡大、医療情報のID基盤 「日本版EHR(仮称)」 の実現などが盛り込まれている。その中で 「地域の医師不足等の医療が直面する問題」 への対応は、「遠隔医療技術の活用により、通院が時として困難な患者(へき地に居住する妊婦、高齢者・障害者など)が、自宅にいながらより質の高い医療を受けられるようにするとともに、地域の医療機関においても遠隔地にいる医師などのサポートにより、画像診断など専門性の高い医療を受けられるようにする」 とされており、さらに実現のための方策として 「遠隔医療に関する科学的根拠に基づくデータ(エビデンス)を蓄積し、安全性・有効性などに関するエビデンスがあると検証された遠隔医療技術について、適切な導入および適用範囲の拡大を図るとともに、診療報酬等の適切な活用を行う。特に、患者と対面する医師を遠隔サポートする医療機関へのインセンティブ付与の実現方策を検討する」 との方向性が明示されている。まさに遠隔画像診断を推進してきた放射線科医の先見性が示された内容であり、今後の放射線科医のキャリア形成の1つの重要な選択肢となり得る重要な方向性である。
このような状況の中でPACSは、単に1つの医療機関のみでの画像に関連するソリューションとしての位置づけでは不十分であることが容易に推察できる。すなわち、病院内でも検体検査/生理検査/内視鏡/病理検査などの他の部門システムとの情報連携と、統合表示/検索が求められることになると思われ、さらに電子カルテシステム(HIS)との連携や2次利用、また近い将来には地域医療連携の枠組みにおける他の医療施設との情報連携/情報共有や、検診システムとの連携も視野に入ってくるであろう。これらを実現するためには、当然IDの連携(地域グローバルID)や、non-DICOM 情報の表示、通信セキュリティの確立と、通信品質の確保、医師法20条などの法的な問題の解決、遠隔読影などを事業として行う場合のガイドライン作成等々の、さまざまな課題やステップをクリアすることが求められる。
本企画では、このような状況下において、さまざまな医療機関での第一線でPACSを用いて診療・研究を行っている斯界の最先端の研究者と、PACSおよび関連するシステムを提供しておられるベンダの研究者の方々に、それぞれの立場で近未来のPACS 像を論じていただいた。今後の画像診断をめぐる方向性を少しでも示せれば幸いである。(特集1 序説より)
特集2:光脳機能イメージング
光を用いた脳機能測定は、この方法が非侵襲的であることから徐々に注目を浴び、本年度はうつ病の診断に利用されるようになるなど、単なる研究レベルのみならず臨床への応用の道が開けつつあります。そこで今回、「光脳機能イメージング」 の特集を組ませていただきました。
まず、基本原理を慶應義塾大学工学部の岡田英史先生(第9、10回日本光脳機能イメージング研究会会長)に解説していただきました。光脳機能測定とはどんなものかというイメージをご理解いただき、物理学科出身でありながら臨床医でもある私が、光計測で得られる信号の意味について解説し、以後の応用例に対する橋渡しを行いました。臨床の場での応用例からは、脳外科分野として自治医科大学脳神経外科の渡辺英寿(日本光脳機能イメージング研究会々長)と日本大学脳神経外科の酒谷 薫(日本光脳機能イメージング研究会事務局長)両先生に、脳外科にまつわる脳機能測定の実例を解説していただきました。同じ脳外科学でありながら、アプローチがまったく異なる点も興味があります。脳外科の患者がその後お世話になるリハビリテーションに関する応用例としては、森の宮病院の宮井一郎先生に解説していただきました。運動時の脳機能測定というユニークかつ困難な研究をされています。また、精神科領域での応用例では、群馬大学医学部精神科の福田正人先生(第11回日本光脳機能イメージング研究会々長)に、心理現象や精神疾患における脳機能測定をご紹介いただき、今まで客観的評価のむずかしかった分野での応用例をご紹介いただきました。
次いで、現在脳機能測定装置を販売している日立メディコ、島津製作所、浜松ホトニクスの3社(順不同)の製品紹介を掲載し、具体的に研究を立ち上げようとする場合の資料となるよう企画しました。これらの装置は比較的高価であり、光測定の経験や実績がなく、装置の購入の予算確保がむずかしい若手研究者も多いと思われます。それらの方々が試しに使ってみるのに適した、ベンチャー企業の開発した安価な装置も紹介し、光計測の分野に興味をおもちの方に役立てるよう配慮しました。
今回の企画が、脳の機能測定に興味をもたれる方々の参考になることを願っています。(特集2 序説より)
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